【マレーシア】コロナの新クラスター相次ぐ[社会]

背景に検査増、収束時期見えず

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マレーシアで、新型コロナウイルス感染症対策の活動制限令が「回復期」に入って1カ月以上たったが、新型コロナの新たなクラスター(感染者集団)が相次いで見つかっている。感染リスクが高い地域や感染の疑いがある集団に対象を絞ったスクリーニング検査を増やしていることが背景にある。保健省はこれまで約150万人を検査しており、今後さらに増やす方針。一時はゼロに近づいた新規感染者数だが、収束の時期が見えなくなってきた。

マレーシアの新型コロナ新規感染者数は6月4日の277人をピークに、回復活動制限令が始まった同10日以降は、同13日の43人を最大、7月1日の1人を最少に1桁と2桁を行き来している。

スターによると、保健省のノル・ヒシャム・アブドゥラ保健局長は19日、英オックスフォード大学の研究者らのデータベース「アワー・ワールド・イン・データ」を引用し、マレーシアの1,000人当たりの新型コロナ検査数は27.32人と、世界の主要国の中で韓国の28.03人と同水準にあると指摘。「この統計はPCR検査のみで、迅速抗原検査の数が含まれていないため、実際にはそれ以上ある」と説明した。

ノル局長によると、保健省は今月16日時点で86万8,394人に新型コロナ検査を実施し、陽性者は8,737人と、陽性率は1%ほど。私立病院は当初、陰性結果を報告しなかったため、実際の検査数は大きく上回り、陽性率は下がるという。同局長は「保健省は当初から感染リスクのある集団を対象にスクリーニング検査を続けており、今後はさらにコミュニティー内のクリニックでの検査も増やしていく」と述べた。

■相次ぐ新クラスター

マレーシアではこのところ、各地で新たなクラスターが発見されている。保健省は20日、国内で新型コロナの感染者を新たに21人確認したと発表。7月17日の18人を抜き、今月最多となった。新規感染者のうち6人は輸入症例、15人が国内感染だった。国内感染者の内訳は、マレーシア人が13人、外国人が2人で、マレーシア人のうち12人は、ジョホール州で見つかった新たなクラスターからだった。

保健省によると、国内でまだ収束していない新型コロナのクラスターは19日時点で19カ所ある。

20日時点で国内の累計感染者数は8,800人となった。同日には感染者2人が退院し、回復者は8,555人。感染者数に占める回復者数の割合は97.2%で、前日から0.2ポイント低下した。死者はゼロで、死者数は123人のまま。入院者数は122人で、集中治療室(ICU)で3人が治療を受けており、うち1人が人工呼吸器を装着している。

保健省は19日、新たに3カ所のクラスターを見つけたと発表した。首都クアラルンプール中心部のインド人街ブリックフィールズの外食店のオーナーや従業員合わせて250人を検査し、2人の陽性を確認。スランゴール州セパンの建設現場で働く87人の外国人を含む96人の労働者の検査により、インドネシア人とバングラデシュ人の計2人の陽性を確認した。サラワク州クチンの船着き場では、漁業従事者25人を検査し、インドネシア人など計2人が陽性だった。

18日にはトレンガヌ、スランゴール両州で各1カ所、サラワク州で2カ所のクラスターを発見したと発表していた。

■検査数まだ不足の声も

専門家からは、新型コロナのクラスターが相次いで発見されているのは、検査が効果的に行われているためだとの見方が出ている。一方で、根絶に向け、検査数をもっと増やすべきとの声もある。

プトラ・マレーシア大学薬学・健康科学部のマリナ・オスマン准教授は、「どんな感染症でもスクリーニング検査は感染リスクや発症者に基づいて行われるべきで、感染リスクが低い集団にも実施すればコストがかかりすぎる」と説明。政府は限られた予算内で効果的に陽性者を検出できているとの見解を示した。

一方、マラヤ大学薬学部のサザリー・アブ・バカル教授は、各コミュニティー内での新型コロナの有病率をより正確に推定するために、検査を増やすべきだと話す。無作為に抽出した国民を対象にした大規模な検査を実施し、有病率を推定すべきとの考えだ。

サザリー教授は、対象を絞ったスクリーニング検査では短期的に感染者数を抑え込むことができても、長期的に感染拡大を抑制できないと指摘している。