[大弦小弦]相撲を一番取るごとに顔や上半身を消毒する…

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 相撲を一番取るごとに顔や上半身を消毒する。保護者の観戦は密を避けて隣のテニスコートから。コロナ対策を施した県高校総体が開幕し、足を運んだ

▼勝っても九州や全国総体はない。県高体連が2カ月遅れで30競技の開催にこぎ着けた独自大会。「最後の機会を」「無事に全競技を終えたい」。各専門部や指導者の思いは3年生に届いたことだろう

▼個人戦と団体で3冠を達成した木﨑誠仁選手(中部農)は1年の夏、左大腿(だいたい)骨を折る大けがを負った。復帰まで1年近く要し、「今年こそは」と全国上位を狙っていた。心が折れそうになりながら仕切り直し、部員を引っ張った主将の目は真っ赤だった

▼金武和睦(なごむ)選手(球陽)は中学で木﨑選手に誘われて競技を始め、進学後は週末に中部農高まで出向いて練習してきた。「高3まで頑張ると約束した。共に力を出し切れて良かった」。親友の活躍を喜ぶ笑顔は晴れやかだった

▼元球児で小説家の早見和真さんが朝日新聞(5月22日付)に高3世代へメッセージを寄せた。どの大人も経験したことのない出来事に高3で直面した意味を考え、自身の言葉で「正解」を見つけてとつづる

▼県総体は今週も熱戦が続く。休校で部活ができず、葛藤した日々は決して無駄ではないはずだ。異例ずくめの夏に一人一人が導き出した答えを見届けたい。(大門雅子)