【主な代表候補】内村、種目別鉄棒に専念 残り1年「新星」は現れるか 東京五輪開幕まで1年 夢舞台目指す長崎県勢

主な出場内定選手と主な出場有望選手

 コロナ禍でストップしていた日本代表選考レースも、これから徐々に再開していく。感染拡大前の3月までに内定を出した競技もあり、候補者はやや絞られた感もあるが、団体競技を中心に、まだ多くの長崎県勢に出場の可能性は残っている。

 東京五輪開幕まで1年を前に、体操男子個人総合2連覇中の内村航平(リンガーハット、諫早市出身)は、種目別鉄棒に絞って出場を目指す方針を明らかにした。体の痛みを抱えながらも、自国開催五輪への強い思いを語ってきた31歳。その決断には、悲願の舞台に立つための覚悟がにじむ。

 陸上は世界陸連が「東京五輪の出場資格基準を満たしている選手の出場権は維持する」と発表。女子5000メートルの廣中璃梨佳(日本郵政グループ、大村市出身)の五輪参加標準記録突破は取り消されないため、現在の最有力候補に変わりはない。

 陸上勢は廣中のほか、男子三段跳びの山本凌雅(JAL、諫早市出身)、女子七種競技の山崎有紀(スズキ浜松AC、長崎市出身)らが日本の各種目をけん引する。参加標準記録クリアや、世界ランキングを上げる期間が延びたことは、プラスに働きそうだ。

 団体競技もそれぞれ代表の中心を担っている選手がそろう。バスケットボールは男子の田中大貴(A東京、雲仙市出身)と女子の永田萌絵(トヨタ自動車、佐世保市出身)が有力候補。田中は攻守両面で代表に欠かせない存在に成長しており、昨季はBリーグのレギュラーシーズン最優秀選手賞(MVP)を初受賞した。社会人1年目の永田も3人制のホープとして台頭している。

バスケットボール男子の田中(A東京)

 3大会ぶりの五輪復活競技として注目されている野球とソフトボールも有力選手がいる。野球で広島のエース大瀬良大地(大村市出身)、ソフトボールの藤田倭(太陽誘電、佐世保市出身)は主力としての活躍が期待される。

 毎年のように全日本メンバー入りしているバレーボールの県勢は、今年も3人が名を連ねている。女子でリベロの小幡真子(JT、九州文化学園高出身)は昨季、チームの主将を務めてVリーグ1部で9季ぶり2度目の優勝に導いた。

 12年前、2008年北京五輪体操男子。19歳の内村は春先まで「五輪に出られたら…」という評価だったが、本番で二つの銀メダルを手にした。本番まで1年。各競技で内村のように「新星」が出てくる時間は残されている。多くの県勢の選考レース参戦が期待される。


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