トランプ氏、デモ続く都市に連邦職員を送り込むと威嚇

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ドナルド・トランプ米大統領は20日、同国で続く人種差別などへの抗議行動を抑えるためとして、主要都市に連邦の法執行職員らを派遣すると威嚇した。

トランプ氏はホワイトハウスで記者団に、法と秩序が大事だと強調。「法執行職員を派遣する」、「都市でこうしたことが起きるのを放っておくわけにはいかない」と述べた。

また、ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、デトロイト、ボルティモア、オークランドの各都市を挙げ、「私たちの国でこうしたことが起こるのは認められない。どの都市もリベラルな民主党員が市長を務めている」と述べた。

それらの市長について、行動を取るのを恐れていると批判した。

一方、オレゴン州ポートランドに2週間前、抗議行動を沈静化させるために連邦職員を派遣したことについて、職員らは「素晴らしい仕事」をし、治安を回復したと賞賛した。

ポートランドでは、5月にミネソタ州で黒人男性ジョージ・フロイドさんが死亡した事件が起きて以来、警察の残虐行為に抗議するデモが続いている。

現地の当局者は、連邦職員らによって事態は悪化していると話している。

職員の一部は所属の明示がない車両を使い、軍人用の迷彩服を着用しており、民主党や活動家らが非難している。先週以降、デモ参加者とこれら職員との間で緊張が高まっており、地元指導者らは連邦職員の退去を求めている。

また、トランプ氏が大統領選挙を前に政治的に目立つ行動を取り、状況を悪化させているとの批判も出ている。

「無政府主義者だ」

トランプ氏は、オレゴン州のケイト・ブラウン州知事、ポートランド市のテッド・ウィーラー市長、同州議会議員たちについて、「アナキスト(無政府主義者)」に恐れをなしていると述べた。

「みんなデモ参加者たちを怖がっている」、「それが私たちの助けを望まない理由だ」。

さらに、「(連邦職員らは)3日間現地にいて、短期間に素晴らしい仕事をしており、まったく問題がない。数多くの人を逮捕し、リーダーを収監した。やつらは無政府主義者だ」と述べた。

派遣された職員は、国土安全保障省(DHS)の新設部隊の一部。連邦保安局や税関・国境警備局のスタッフらで構成されている。

国内の歴史的記念碑を守ることを目的とし、トランプ氏が先月署名した大統領令の下、デモの取り締まりに乗り出した。この大統領令は、州の許可なしに連邦職員を派遣できるとしている。

シカゴに派遣か

米紙シカゴ・トリビューンは20日、DHSが今週、シカゴに150人規模の職員を派遣する予定だと報じた。犯罪を取り締まる他の連邦職員や地元警察を支援するという。

トランプ氏はしばらく前から、シカゴでは暴力的な犯罪が抑制されていないとして、同市の指導者層を非難している。警察によると、先週末だけで同市では64人が銃撃され、うち11人が死亡した。

シカゴ市のロリ・ライトフット市長は、トランプ氏による連邦職員の派遣に懸念を表明している。

「バッジを着けず、通りから人を違法に連行し拘束する連邦職員は必要ない」

ポートランド市のウィーラー市長は19日、米放送局CNNで、「連邦職員の存在がさらなる暴力と破壊行為を招いている」、「ここでは求められていない。来るよう頼んでもいない。出て行ってほしい」と述べた。

オレゴン州司法長官は、連邦政府を相手に訴訟を提起。連邦職員が違法に抗議デモ参加者らを拘束し、集会の権利を侵害し、適正な手続きを守らなかったとしている。

(英語記事 Trump threatens to send officers to more US cities