[大弦小弦]自信満々で間違う政権

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 国の観光支援事業「Go To トラベル」を取材していた同僚が先週、「キャンセル料を巡り混乱が起きている」と聞き込んできた。支援から除外された都民が沖縄旅行をやめる際、キャンセル料を払わされると

▼国が途中でルールを変えたつけを、市民が負担するなんておかしい。国の対応を確認すると官房長官、国交相がキャンセル料を補償しない考えを示しており驚いた

▼案の定、批判を受け補償へ方針転換した。既視感がある。新型コロナ対策の国民への10万円給付も、国は否定していた。野党や市民に批判され、連立相手の公明にねじ込まれ、あの時も方針を変えた

▼この政権は市民が何を望んでいるか、全く理解していないとしか思えない。今回も公明が補償を提言したが、そもそも旗振り役の国交相が公明議員。「ブレーキ役を果たした」と言えない

▼ころころと方針を変える朝令暮改は、企業経営では発想の柔軟性と評価されることも。安倍政権は優劣付けがたい案の選択に悩むのではなく、市民感覚に欠ける方針を自信満々に打ち出すから困る

▼語呂が似た故事に朝三暮四がある。サルに木の実を朝三つ、夕四つ与えたら怒った。朝四つ、夕三つにしたら喜んだ。小手先ではぐらかす意味がある。桜を見る会で「募ったが募集してない」と珍答弁した首相に、こちらも当てはまる。(吉田央)