【INTERVIEW:Hi Cheers!】ドカーン!みたいな曲がいいんじゃないのかなって

Hi Cheers!

動画配信サービス『GYAO』、ストリーミングサービス『AWA』のフォローアップのもと、日本工学院専門学校の学生がアーティストインタビューを行う、ネクストブレイクアーティストをプッシュするコラボレーション企画『G-NEXT』。

今回の選出アーティストは、7月17日に1st Digital Single「ABCがワカラナイ」を初音源として配信リリースしたHi Cheers! メンバー全員がヴォーカルを担当し、新鮮で抜群なポップセンスを持つ4人のハーモニーが生み出す楽曲とは? 新世代バンドとしてのスタイルへのこだわり、彼らにとって音楽とは何なのか、今後の活動への想いを訊いた。

すごく…“令和”って感じ

ーーまずお伺いしたいのですが、各自が別の音楽活動をされていた中でこの4人でバンドを組むことに至った経緯を教えてください。

上野正明(以下、上野): Chieと月川が2ピースバンド、僕はシンガーソングライター、風太はDTMで曲を作る作家のような活動をしている中で知り合っていたんだけど、去年の春くらいにひとりが寂しいなと思い始めて…。そんな中で見たビートルズのドキュメンタリー映画で仲間と音楽をつくる喜びみたいなのが描かれていたんです。で、なにか新しいもの楽しいものを誰かと一緒にやりたいなと思って、音楽性も人としても好きなメンバーに僕から声を掛けてこの4人で始めたという感じですね。

ーー今までの活動との違いで気づいたことってありましたか?

上野:みんなベテランというわけではないので、視野が狭くなってた部分はあると思うんですよ。だけどその視野がそれぞれ違うので、4人分の視野で広がっているっていう感覚があります。自分が書いた曲を風太に投げるとアレンジというかアプローチの違ったものになったりして、"あ、楽しいな"っていうイメージがありますね。化学反応が起きる時が楽しいです。

ーーメンバー全員がボーカルということですが、スタイルに対してのこだわりはありますか?

高村風太(以下、風太):4人の歌い手でいろんな声があるので、挑戦できる音楽の範囲が拡がっていくような気はします。だから、自分たちの音楽性を決めずに各々がやってみたいものを表現できる形態を持っているのではないかと思っています。

ーーChieさんと月川さんの演奏できる楽器の中にフルートやオカリナなど、バンド形態には珍しい楽器も含まれていますが、そういった楽器が登場する予定はありますか?

Chie:既にフルートは前身バンドのときに登場したことがあって、だからまたやるんじゃないかな。
上野:そうですね。ドラムがいない分ロックバンドっていうよりサポートとか入れて幅広くできるバンドだと思うので、楽曲によってはフルートを入れる可能性もありますね。

ーーちなみに今作品は高村さんの詞曲となっていますが、作詞作曲も全員ができるとのことで。

上野:そうですね。今回は風太くんが1から曲作ったり簡単なアレンジしてきたものを、ベースライン変えたり、ギターフレーズを考えたりという感じでみんなで固めていったんですが、この先はそれぞれが影響受けてきた違う音楽性もうまくHi Cheers!というものに昇華できたらいいなって思ってます。

ーーHi Cheers! のコンセプトにある “Show me your smile”という言葉が好きなんですが、みなさんが聴くと笑顔になれる音楽はなんですか?

月川 玲(以下、月川): 笑顔…。

上野:あんま笑わない?(笑)

月川:あんま笑わない。

上野:楽しくなるようなのは?

月川:楽しくなるか…、基本的に私が好きな音楽って昔の洋楽だったりするので。日本人ならCharaさんとかは笑顔になれますね。ライブに行って、にやにやしてたもん!

全員:あぁーいいよね。

風太:僕は作った人と聞いている人が一緒に楽しめるようなもの、作り手の楽しませてやろうっていう想いが伝わってくるものは聴いてて笑顔になれます。

Chie:私は、山崎まさよしさんとか大石昌良さんとかアコギ一本ですごいバチバチ弾き語る人の映像を観ているときは、憧れからの笑顔みたいな感じです。でも画面に自分の顔が映ってて、なんかキモくなっちゃって (笑)。

上野:あんまり人生謳歌している感じじゃないので、僕自身がいえーいって感じではないのですが、だからこそ音楽を聴いている時は、これから楽しいことがあるかもしれないって気持ちになって、新しい自分が出てくるようなイメージがありますね。

ーーそうなんですね。ではデビューに関してお聞きしますが、今時と言いますか、配信でのデビューということについてはどう思われていますか?

風太:気軽に聴けるところがいいと思います。配信っていうのはスマートフォン一台あればパッと再生できるので、普段音楽を積極的に聴かない人にとっても身近な存在になるツールだと思います。すごく…“令和”って感じ。CDがグッズ化している中で、音楽の聴き方っていうのも手軽になってイヤホンで聞くっていうのがスタンダードになっているので、そこに対しての今向きのやり方なのかなと思ってます…よね?

全員:(笑)。そうだね。

ーーリリースが決まった時の反響はいかがでしたか?

Chie:反響は…そんなにやり取りしてなかった人から“聴いたよ”“良かったよ”みたいなのはありました。おじいちゃんも見てくれたんですけど、カウントダウンTVの…(TBS系「CDTVサタデー」) 。

上野:はいはい。エンディングテーマね。

Chie:そう。私が映ってるって知って、いつも夜9時くらいには寝るんだけど夜中まで起きててくれて。でも、誰が孫だかわかんなかったらしくて…。

上野:いやいやいや、おじいちゃん(笑)。

Chie:なんかその反響が可愛かったです。

ーー (笑)。月川さんはいかがですか?

月川:私はちょっとChieさんに似ていて、最近連絡とってなかったなーみたいな人から、「CDTVサタデー」のエンディングテーマ決まったよーって告知したタイミングですごい連絡がきた。反応もらえてすごくよかった、頑張ってよかったなって思いました。

─実感としてはいかがですか?

上野:元々6月か7月を目指してなんか作ろうって春くらいから動いてたんですけど、この情勢もあって、それぞれ家にこもって作業をしてたんですよ。だけど普段の曲作りとちょっと似てるような感じで制作が進んだので実感がなくて。でもレコーディングで弦が入ったりホーンが入ったりとかしていくうちに、いよいよ発信していくんだなって感じました。

Chie:私も上野君と同じで全然実感がなかった。反響をもらってからですね。

Hi Cheers!

思い出させてくれる“そこにあるもの”

ーーHi Cheers!としては「ABCがワカラナイ」が初音源となりますが、この曲を選んだ理由を教えてください。

上野:実は候補がいくつかあって、その中から一発目はどうしようかって話をしてたら、突然、風太くんが“サンバをやりたい”とか言い出して(笑)。

風太:最初に出す曲を何にするかって考えたときに、インパクトがあって耳に残りやすい、なおかつHi Cheers! のテーマというか、ある程度自分たちのキャラクター性みたいなものを現段階で伝えるために、この…ドカーン!みたいな曲がいいんじゃないのかなっていう感じで(笑)。でも今後はもう少し、こういうのじゃないのもやってみたいなって気持ちはありますね。

ーー先ほどリモートの曲作りが普段と似ているとおっしゃっていましたが、普段の楽曲制作はどのような流れでやられているのですか?

上野:4人全員が曲を書けるので、一旦デモテープみたいなのを作ってそのあとに全体のバランスを考えます。そこから膨らましてくれるのは風太くん。

風太:誰かが曲を持ってきて、それを一回4人集まって楽器を鳴らしてみて、曲の構成みたいな大まかなものを詰めます。ただドラムがいないので、ドラムとかの音を用意してみんなにデータを投げて、楽器を弾いてもらったものをまた送ってもらう、っていうような作り方を普段からしています。

ーー歌詞の中の《くれぐれもご自愛ください》というフレーズが気になりました。高村さんのツイッターのプロフィール欄にも同じ言葉がありましたが、大切にされている言葉なのでしょうか。

風太:めっちゃ見られてる! うーん、手紙の最後につける言葉じゃないですか、この言葉って。でも受け取り方によっては“頑張ってね”って捉え方になったり、“好きにやってくれや”ってなったりすると思っていて。そこはもう聞き手次第だと思ってます。

上野:それこそプラスの意味にとっていただけるんだったら、どちらに捉えていただいても別にいいかなって思いますね。

ーー「ABCがワカラナイ」に込められた、《大切なことは自分がどうするかである》というメッセージを、どんな人に伝えたいですか?

月川:なんか、ピンポイントで対象がいるわけではなく。もうほんとみなさん、“地球上のみなさんすべて”ですね。

高村:僕も特定の誰かってわけじゃなくて、“何が正解か分からなくなっている人”に向けて“好きなものは好きでいんじゃないの”っていう気持ちを曲に込めたので。どうしたらいいのか迷ってる人を0.5センチぐらい前に押してあげられたらいいと思います。

Chie:私も、特定の誰かというよりかは、“あーだこーだ言う側に流されちゃう人”ですね。私もそうなんですけど、そういう人たちが聴いてくれたらいいのかなって思います。

上野:この曲は都合のいいように取ってもらっていい気がしています。自分を肯定してくれてるなって感じに受け取って、皆さんの日常が楽しいものになるなら、そう聴いていただければ。

ーー私たちはコンサート・イベント科というところでライブ制作を学んでいる学生なのですが、ライブをする上で大切にしていることやこれからの課題などあれば教えていただけますか?

風太:客席の前の方しか見ていないような人がいるとそれじゃだめだなって。お客さんがいてスタッフの人がいて成立しているものなので。自分一人で楽しむんじゃなくて一緒にいる人とちゃんと目と目を合わせることができる、みんなで作っていくものなのかなって思います。

上野:ライブもトラブルがつきものなので、フォローし合うのも何かドラマがあるような気がして。だから絶対に揉めるんですよ、ライブ現場って(笑)。それも込みでライブの良さなのかなって気はしますね。

Chie:私自身もライブ以外のことを忘れて楽しみたいタイプで、見に来てくれる人もそういう風に来てくれるんだろうなと思う。そうなれるような、“楽しさパワー”みたいな?(笑)。でも自分だけがただ楽しむだけじゃそれは出ないから、ちゃんとそれを出してもらえるように頑張りたいなぁって。

月川:ライブって生ものなので、その場限りの演奏・雰囲気・熱量ってあるじゃないですか。それをどうするのかがどのバンドでも課題だと思う。その答えが見つかってたらある意味音楽の結論ができてると思うんですけど、それがわからないからこそ研究しかないなって思います。

ーーHi Cheers! の初ライブを開催する際に注目してもらいたいポイントはありますか?

上野:作品が楽器てんこ盛りなんですよ。だからこそ作品は作品の良さがあって、ライブはライブアレンジの良さがあるんじゃないかと予想してます。

ーーこれからのバンドとしての目標や楽曲制作以外にバンドとして挑戦してみたいことがありましたら教えてください。

上野:武道館と両国国技館で4人でワンマンライブやってみたいなー。あとは紅白に2回以上出たいっていう気持ちがあって。1回だけっていう“時の人”じゃなくて、2回以上という長いスパンで、それって国民の方に愛していただける音楽が作れているっていう証拠だと思うので。

風太:子供に向けた何かをやりたいな。NHKのEテレで5分番組の帯を持ちたいんですよ。子どもたちが歌だけじゃなくて楽器とか音楽そのものに興味を持ってくれるようなきっかけを作る機会があったらいいなって。

月川:私は海外でライブがしたいなぁ。

Chie:私は尊敬する人に“このバンドいいよ”って言われたい。漫画家さんとか芸人さんとかが、“このバンドがいいよ”って言える場で名前を出されるようになったら嬉しいな。

ーーそれでは最後の質問になります。漠然とした問いかけになりますが、あなたにとって音楽とは?

月川:『骨』かもしれないですね。それ(=音楽)取っちゃったら“私何してたんだろ”みたいな。聴くのも演奏するのも大好きなので、それがなくなったら骨折どころじゃ済まないかなって感じはしますね。

風太:うわ、面白いこと言いたい…。無理だ。Chieちゃん先言って。

Chie:え、でも例えるなら『お米』?

風太:うわ、面白い…! うわあぁ!

Chie:みんな毎日食べるじゃないですか。私もみんなも好きだし、食べたらハッピーになれて栄養にもなるから。

風太:僕は普通に生きていたら経験できないような景色が音楽を聴いてると見えてきたり、こんなことあったなって思い出させてくれる、“そこにあるもの”。

上野:僕、自分がないんですよ。結構人の意見に流されて。でも初めて“好きだ!”って思ったのが音楽でしたね。音楽って才能あふれている人がいっぱいいて、僕とかが音楽やっても変わらないんじゃないかとか思ったんですよ。でも単純に好きだなって気持ちになるので。まあ“お米”みたいなものですね(笑)。

Chie:いや、私のお米だから!

上野:お前のお米か(笑)。

風太:米騒動が起こってる!

全員:(笑)。

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取材:椎名康予・備前桐香・工藤香織
(日本工学院専門学校 コンサート・イベント科)
撮影:石原汰一
ヘアメイク:花田紗希(MORIO FROM LONDON)

Hi Cheers! × 日本工学院専門学校 コンサート・イベント科:椎名康予・備前桐香・工藤香織

配信シングル「ABCがワカラナイ」

2020年7月17日配信

詞:高村風太/曲:高村風太

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