医療機関で多いクラスター 無症状で発見遅れも 「院内感染をゼロにするのは難しい」

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全国のクラスター発生事例

 全国での新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)発生事例は医療機関が全体の3割以上を占めていることが、6月19日時点での全国知事会の調査で分かった。本県でも今月、長崎みなとメディカルセンター(長崎市)で県内初のクラスターが発生。医療機関で多発している背景には無症状による発見の遅れや、感染防止が徹底されていないことなどがあり、医療関係者は院内感染を防ぐ困難さに直面している。
 全国知事会の調査によると、6月19日時点で感染者5人以上のクラスターは238件。施設で区分すると、病院、診療所などの医療機関が84件(35.3%)と最多。これに、▽高齢者福祉施設などの社会福祉施設が62件(26.1%)▽接待を伴うキャバレー、ナイトクラブなどを含む飲食店が41件(17.2%)を加えると、全体の約8割を占める。
 医療機関でクラスターが多い理由の一つに、感染者の発見遅れがある。患者の原疾患による発熱や肺炎は珍しくない。無症状や感染しているのに検査で陰性となる「偽陰性」の事例もある。
 医療機関でのクラスター発生理由としては、他に▽陰性を確認しないままの転院や退院、病棟の変更▽看護ケアやリハビリ、食事介助時などの感染予防策の不徹底▽個人防護具などの資材不足▽病棟をまたいだ患者・スタッフの移動▽トイレや更衣室、休憩室、食堂などでの職員同士の感染-などがあった。
 長崎みなとメディカルセンターでは20日までに医療職、入院患者計12人の感染を確認。院内感染防止について、長崎大学病院感染制御教育センター長の泉川公一教授は「発熱などの症状があれば対策ができるが、無症状の患者がいる。マスクの着用や手洗いなど(を徹底し)感染対策を100点にして院内感染をゼロにするのは難しい」と話す。
 全国知事会は医療機関、社会福祉施設のクラスター対策として、感染予防対策のガイドライン作成、職員研修や訓練、手指衛生の徹底や個人防護具の適切な着用、休憩室や更衣室も含めたマスクの常時着用、仮眠室など共有設備の清掃・消毒などを呼び掛けている。