鷹が開幕戦以来の首位タイ浮上 逆転勝ち呼んだ今宮の“遊ゴロ”の価値

ソフトバンク・今宮健太【写真:藤浦一都】

無死二塁で、三振か三塁ゴロは避けなければならない場面で放った遊ゴロ

■ソフトバンク 3-2 日本ハム(22日・PayPayドーム)

ソフトバンクは22日、本拠地PayPayドームで日本ハムと対戦し、3-2で逆転勝ちした。6回まで日本ハム先発のマルティネスの前に1安打に封じられていたが、7回に一気に3得点。松田宣が逆転の適時二塁打を放って、試合をひっくり返した。

6回までわずか1安打。マルティネスの前に完璧に封じられていたソフトバンク打線がようやく繋がった。先頭の柳田が中前安打で出塁し、初めて無死から走者を出すと、続く中村晃が右中間を破る二塁打を放ち、まず1点。さらにバレンティンの四球などで2死二、三塁とし、松田宣が中前へと弾き返し、逆転の走者を迎え入れた。

殊勲の一打を放ったのは松田宣だったが、この7回に見逃せない、逆転を呼び込む一打があった。それは5番の今宮が放った、なんでもない“遊ゴロ”だった。

中村晃の適時打で1点を返し、無死二塁の場面。まず同点に追いつきたいホークスサイドとしては、最低限、二塁走者を進めたいところ。ここでソフトバンクベンチは送りバントのサインを出す。だが、今宮は2球続けて見逃し、2ストライクと追い込まれた。

今宮が遊ゴロで走者を三塁に進めて松田宣が逆転の一打

ここでソフトバンクベンチは二塁に代走で走塁のスペシャリスト周東を送る。ベンチの意図はワンヒットで同点、ないし内野ゴロでも三塁へと走者が進めるようにすることだっただろう。

そして続く3球目。インコースのボールを今宮は半ば強引に遊撃方向へと飛ばした。決して強振せず、バットのヘッドを遅らせるように出して打った。この場面で最も打者としてやってはいけないのは三振か、走者の進めない三塁ゴロ。周東は三塁へと進み、そして、その後の逆転劇に繋がった。

今宮に続くバレンティンは四球を選び、代走に送られた西田も盗塁を決めて併殺打をなくした。上林は空振り三振に倒れたが、土壇場で打席に立った松田宣がフルカウントから低めのカットボールを中前に弾き返して逆転。今宮が果たすべき“役割”を果たしたことが大きな役割を果たした。

見事な逆転勝ちを収めたソフトバンク。単独首位だった楽天がオリックスに大逆転負けを食らったことで、16勝12敗で並び、開幕戦以来の首位タイに浮上した。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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