ミニネプチューンの一部はスーパーアース?「超臨界水」の水圏をもつ可能性

太陽系外惑星「K2-18b」(右)を描いた想像図(Credit: ESA/Hubble, M. Kornmesser)

太陽以外の恒星などを周回する太陽系外惑星はこれまでに4000個以上が見つかっていますが、そのなかでも地球より大きく海王星(直径は地球の約3.9倍)より小さいものは「スーパーアース」「ミニネプチューン(サブネプチューン)」と呼ばれています。今回、ミニネプチューンの一部が実はスーパーアースと同種の系外惑星ではないかとする研究成果が発表されています。

■水蒸気の検出が発表された「K2-18b」も超臨界水の水圏を持つ可能性あり

地球に近いサイズのスーパーアースは岩石質の系外惑星と考えられているいっぽうで、海王星に近いサイズのミニネプチューンは水素やヘリウムの豊富な大気に囲まれた系外惑星ではないかと考えられています。Olivier Mousis氏(エクス=マルセイユ大学)らの研究グループは、ミニネプチューンの一部が水素やヘリウムではなく水蒸気の大気と「超臨界水」の膨張した水圏を持った、水の豊富な岩石質の系外惑星である可能性がシミュレーションによって示されたとする研究結果を発表しています。

超臨界流体のひとつである超臨界水は高温・高圧下における水の状態のことで、気体である水蒸気と液体である水の両方の性質を示すとされています。条件となる温度と圧力は摂氏374度以上かつ約220気圧以上で、この温度・圧力は臨界点と呼ばれます。研究グループが惑星内部のマントルやコア、水の量、惑星の質量などの条件を変えてシミュレーションを行ったところ、水の豊富な惑星では水蒸気の濃い大気がもたらす暴走温室効果によって、惑星の平衡温度(※)が水の臨界点以下の場合でも超臨界水の水圏が形成されることがわかったといいます。

※…大気の存在を考慮せず、主星から受け取るエネルギーと惑星から放射されるエネルギーだけを考慮した温度

候補の一つとしてあげられているのが「しし座」の方向およそ110光年先にある系外惑星「K2-18b」です。「ハッブル」宇宙望遠鏡による観測データの分析から、K2-18bの大気中には水蒸気が含まれるとする研究成果が昨年発表されています。Mousis氏らによると、K2-18bの性質は今回の研究において平衡温度を摂氏約30度と仮定した場合のシミュレーションモデルに一致するといい、K2-18bが水蒸気の大気と超臨界水の水圏に囲まれている可能性(水の比率はK2-18bの質量に対して約37パーセントと推定)を指摘しています。

研究グループでは、膨張した超臨界水の水圏を持つ岩石質の系外惑星は水素やヘリウムの大気を持つ系外惑星のように大きなサイズが検出されるものの、スーパーアースとの違いは単純に水の量に左右されると考えています。参加した研究者が所属するフランス国立科学研究センター(CNRS)は、今後の観測によって今回の研究成果が検証できるだろうとしています。

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Image Credit: ESA/Hubble, M. Kornmesser
Source: CNRS
文/松村武宏

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