九十九島ビジターセンター10年周年 自然の魅力余すところなく

開設10周年を記念した企画展を紹介する宮本センター長=佐世保市、九十九島ビジターセンター

 西海国立公園の情報を発信する九十九島ビジターセンター(長崎県佐世保市鹿子前町)が今月、開設10周年を迎えた。九十九島の自然の魅力を余すところなく伝えるため、職員は日々調査活動に励んでいる。
 同センターは環境省、県、佐世保市などが2010年7月3日に開設。市の第三セクター「させぼパール・シー」が運営・管理を受託している。開設以降、10年間の入館者数は約36万5千人に上る。
 木造2階建て。1階(延べ床面積約500平方メートル)では九十九島の旬な植物のほか、生息している動植物を紹介するジオラマなどを展示。2階にはイベントスペースがある。宮本博文センター長は「施設を見てもらえば、九十九島の大体のことは分かる」と胸を張る。
 九十九島に関する情報収集と長期的な経過観察の一環として、月2回、南九十九島湾内の水質調査などを続けている。記者が同行した16日は、約2時間かけて船で調査。同湾内の牧島や長南風島など6カ所で水質を調べ、5カ所で倒木の有無などを確認する環境モニタリングをした。

南九十九島湾内の水質調査を行うビジターセンター職員=佐世保市内

 職員は、野鳥を見つけるとすかさずカメラで撮影。職員の山口朗子さん(44)は「植物のカノコユリや野鳥のクロサギなど、九十九島には希少種がたくさんいる。すごい場所だと思う」と目を輝かせる。
 九十九島に寄り添ってきた同センターの10年。今後水質調査の改善や、野生のシカの分布調査に向けた予備調査にも取り組む予定。宮本センター長は「今後もより伝わりやすい方法で情報発信に取り組みたい。センターが、九十九島の美しい自然に触れるきっかけになればうれしい」と笑顔で話した。
 開設10周年を記念し、これまでの調査活動や職員が採取した植物の種などを紹介する企画展を12月6日まで開催している。

 


© 株式会社長崎新聞社