爆心地に「声紋」アート 芸術家・竹田さん制作 被爆者12人の証言 コード読み取ると音声

「『声紋』を通して75年前の悲惨な出来事を感じ取ってほしい」と話す竹田さん=長崎市、爆心地公園

 長崎市松山町の爆心地公園の地表に、ドイツやメキシコを拠点に活動する芸術家の竹田信平さん(41)がペンキで被爆者の声紋をイメージしたデザインを描くアートプロジェクト「声紋源場」が22日、完成した。地表に点在するコードをスマートフォンなどで読み取ると、被爆者12人が証言した音声を聞くことができる。公開は8月10日まで。
 長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)が主催。市が事業費の4分の3(上限額100万円)を補助する「被爆75周年記念事業」の一環として、13日から制作していた。
 プロジェクトには自然への影響が少ないコメ製のペンキを使用。コードをスマホなどで読み取るには、専用アプリのインストールが必要だが、読み取れなくてもプロジェクトのホームページから証言を聞くことができるという。
 12人の証言は、2005年ごろから国内外で竹田さんが聞き取り、収録した。竹田さんは「2、3年前から考えていたアイデアが実現し、感動している。(声紋を通して)この場所で75年前に何があったかを想像してほしい」としている。
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 竹田さんは「声紋源場」のサイドイベントとして、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」で軍縮などをテーマに有識者らと語り合う対談企画にも取り組んでいる。7月28日と8月4日の午後4時から1時間程度配信する予定。視聴を希望する場合は、メール(k.leo.cosmos14@gmail.com)へ事前申し込みが必要。

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