Viaの強みは都市型シャトルのみにあらず。「課題の直視」で地方交通のDXを担う〜新CEO 西島洋史氏 インタビュー

Via はニューヨークでの乗り合いサービスを始めとし、世界20カ国で累計7,000万人以上の利用者を誇るモビリティスタートアップだ。

独自開発した最先端の配車アルゴリズム技術やユーザーエクスペリエンスに優れたアプリを活用した運行システムを提供し、自治体やバス・タクシー・鉄道などの公共交通機関だけでなく、企業の従業員向けシャトル、小中高・大学などの教育機関、介護事業者にも広く利用されている。

移動効率の向上や交通渋滞の緩和など社会課題の解決を目指すViaは、日本でもその取り組みを進めている。今年4月に就任した、Via Mobility Japan株式会社(以下、Via) CEOの西島洋史氏に日本市場への思いや今後の展開について伺った。

地域の交通課題解決に注力したい

――日本市場でViaは何に注力していきたいお考えですか?

西島氏:

Viaのテクノロジーで、日本の社会的課題の解決にいかに貢献できるかを考えています。主に二つの方策を考えていて、一つはMaaS企業や自動運転技術を開発する企業に対して、配車アルゴリズムを提供していくことです。

もう一つは、日本に数百ある人口数万人規模の自治体が抱える交通課題の解決です。路線バスの維持が困難、あるいはすでに撤退してしまった自治体は数多く、各地でタクシーを使ったデマンド交通や自治体運営のコミュニティバスを運行させるなど、苦労しながら対応しています。

このような顕在化した課題は、今すぐにでもわれわれのソリューションで解決のお手伝いができるので、是非進めていきたいです。

――ニューヨークなどの都市部での実績がありますが、Viaの強みや特徴はなんでしょうか?

西島氏:

Viaの強みと特徴は三つあります。一つ目はVia自身がニューヨークの交通オペレーターであることです。われわれ自身が自社のソフトウェアの一番のユーザーです。オペレーターの悩みは突き詰めると、「限られた車両台数で、どれだけ多くの乗客に対応するか」に尽きます。Viaはこの問題を愚直に、オペレーターの目線で解決していきます。

二つ目はイスラエルにいる開発陣です。配車アプリや相乗りアプリに特化した非常に優秀なエンジニアが300人ほどいます。これだけの規模で人材を集めているのは他にはない特徴だと思います。

三つ目はローカライゼーション、パートナーシップを重視している点です。Viaはその地域の課題をよく理解している地域の公共交通事業者や自治体と一緒に活動することをポリシーとしているので、この姿勢は日本の風土に合うと思います。

この三つの特徴をしっかりと活かせるチームを作って、日本各地にある交通課題の解決に注力していきたいと考えています。

地域特性を理解し、対処し続けることでプロダクトは進化する

――Viaと他社との違いをユーザーにどのように理解してもらうのでしょうか?

西島氏:

競合との差を意識するよりは、まずお客様とその問題に注力し、ベストを尽くすことが重要だと考えています。

イスラエルにいるエンジニアたちはニューヨークでの配車サービスの経験があるので交通課題が各地域でユニークであることを理解しています。これまでに多くの地域でバス・タクシー・鉄道など多種多様な交通機関との連携を通じて、起きている問題を理解し、対処してきた実績があります。

またグローバルリーダーシップチームには、自身や家族が日本に住んでいた者が複数いて、またイスラエルのエンジニアには、完璧な日本語を話す者もいます。日本の文化や課題についてきちんと把握して共有し、彼らが問題に向き合えば、必ず問題を解いてくれるはずです。

世界中で120以上の案件に携わってきた経験を生かし、各地域に固有の交通課題にしっかりと向き合って注力することが一番大事です。これを忘れない限り、われわれのプロダクトは進化し続けると思っています。

去年10月にVia Japanと伊藤忠商事はタクシーを使用した実証実験を都内で実施した(資料提供:Via)

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