熊本県内観光業界も期待の声 「GoTo」スタート 被災地は参加困難

©株式会社熊本日日新聞社

熊本城の特別見学通路で記念写真を撮る観光客。政府の「Go To トラベル」の開始に観光業界からは期待の声が上がる=22日午後、熊本市中央区(池田祐介)

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」が22日、東京都を除く46道府県で始まった。熊本県内の観光業界でも新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ客足の回復につながると期待感が高まっているものの、深刻な豪雨被害が出た県南を中心に支援事業への参加どころではない地域があり、その影響を懸念する声も上がる。

 「夏場に観光客が来てくれなければ、経営が立ちゆかなくなる事業者が出てくる」。県旅行業協同組合の赤司大介理事長は、新型コロナの影響で県内の3~7月の観光消費額が前年同期比8割減に落ち込んだとみられるだけに歓迎。地域経済全体への波及効果に期待を寄せる。

 県観光連盟も「熊本城など、熊本地震で被災した県観光の復興に向け大事な時。観光客の増加を後押ししてくれる」と期待。九州産交ツーリズムも「起爆剤になる」とみる。

 同社が熊本市の大型商業施設「サクラマチ クマモト」内に設けているトラベルカウンターはこの日、来店客や問い合わせの数が前日より多かったといい、訪れていた宇城市の会社員、丹波伸一さん(47)は「コロナ禍でどこにも行けなかったので『Go To トラベル』を利用したい」と話していた。

 ただ九州運輸局によると、割引対象となる旅行業者や宿泊施設の登録は22日に始まったばかり。熊本市内のホテルでは「『Go To トラベル』を利用できるのか」との問い合わせを受け、答えに窮する場面も。政府が急きょ前倒しで事業を実施した影響で混乱する様子もうかがえた。

 さらに東京を中心に新型コロナの感染拡大の懸念が強まっており、手放しで喜べる環境にもない。23日からの4連休の宿泊予約が一部キャンセルになったという同市内のホテルは「旅行をしようという意欲が落ち込まないか心配。感染が広がらないよう祈るばかりだ」と話した。

 加えて、関係者からは県南など豪雨災害の被災地をおもんぱかり、「復旧に向け頑張っているときに、旅行してもいいのかと考える人もいるのではないか」との声も漏れる。

 人吉温泉観光協会によると、豪雨災害で人吉市内の宿泊施設33軒のうち営業しているのは9軒。JR九州の観光列車も肥薩線が不通になった影響で運行しておらず、青井阿蘇神社など同市観光の目玉施設も被災した。

 同協会の中村和博専務理事は「人吉でも支援事業への期待は大きかったが、参加は困難な状況」。ただその一方で「どの観光地もコロナ禍で痛めつけられており、他の地域では気兼ねなく活性化に取り組んでほしい。そのことが県経済の浮揚につながる」と言う。

 「Go To トラベル」は期間限定的に取り組まれる事業。県観光連盟は政府に対し、「被災地が観光客を受け入れられる時期まで事業を延長するか、別に被災地向けの観光キャンペーンを検討してほしい」と訴える。(中原功一朗、田上一平、東有咲)