前回の続きとして、もう少し詳しくライブストリーミングサービスについてお伝えしていきたいと思います。
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コロナ休校中に大流行した「ライブ配信」
コロナによってオンラインビジネスが加速しており、8月にはアメリカ、シンガポール、マレーシア、香港等27カ国でイベント・コミュニティー管理サービスを提供しているPeatixも、オンラインイベント用の配信サービスの開始を予定しており、今後ライブ配信は、ますます目が離せない話題のひとつになるでしょう。
また大手ECコマースであるAmazonでも、「ライブコマース」というサービスがリリースされることが決まりました。チャット機能もあり、インフルエンサーがAmazonでお気に入りのものを紹介でき、今までにない新しいショッピングを楽しめます。すでにアメリカでは、一部のインフルエンサーによって運用され始めています。
ライブ配信と動画配信の違い
まず、ライブストリーミングについてですが、ライブ配信と動画配信の違いはなんでしょうか? 動画といえば、YouTubeという方も多いと思いますが、ライブ配信と動画配信は大きく異なり、主に編集ができるかどうかが違います。平たく言うと、ライブ配信はテレビ言う生放送です。編集や脚色されてから、後日放送される番組ではありません。
また、ライブ配信はその時間にインタラクティブな会話を視聴者(ユーザー)と行い、コメントを拾って会話につないで楽しむことが多く、臨機応変に会話を続け、盛り上げていくことが大切です。
テレビは、生放送であっても台本があり、台本通りに進行する番組が一般的に多いのですが、視聴者がテレビの前でどう感じているのか?何を考えているのか?といった反応を放送中にテレビ局側や制作側(作り手)が知ることはなかなか難しいのが実情です。
しかしデジタル時代の新しいライブ配信は、リアルタイムで視聴者(ユーザー)のリアクションがわかり、コミュニケーションをいかに上手に取っていくかが人気の分かれ道になるようです。発信者側(作り手)も受信者側(送り手)も、新しいリテラシー(ライブ・リテラシー)が必要になると筆者は考えています。
日本においては、まだまだライブ配信は始まったばかりで、どのように変化し活用されていくのかわかりませんが、まずはライブ配信そのものの情報リテラシーを知り、仕組みや活用方法、内容を学ぶことから始めていきましょう。
ライブコマース上のライブ配信
ライブ配信は大きくわけて、3種類あります。
まず(1)ですが、先に述べたような、Amazonが今後力を入れていくであろうライブコマースとはどのようなものなのでしょうか。
ライブコマースとは、実店舗をインターネットに移行させたものであるECサイトに、ライブ配信動画を融合させたものになります。視聴者(ユーザー)は一般人、芸能人やインフルエンサーによる商品紹介のライブ動画を見ながら、商品を購入できるようになっています。
これまでは、映像を見ながら買い物するものと言えば「テレビショッピング」でしたが、ライブコマースは、テレビショッピングをインターネットで配信する形態になります。新しい通販の形として海外では人気があり、とくに中国では商品販売者や購入者が爆発的に増加しています。
市場規模・ユーザー数とも、これからも拡大していく分野だと考えられています。日本では2016年から始まりましたが、なかなか軌道に乗っている企業は少なく、ShowroomやYahoo!ショッピングなどでは現在でも続いていますが、BASEやメルカリなど、撤退する会社も多いのが実情です。
SNS経由のライブ配信
ライブコマースの次に、ライブストリーミングを使用したサービスとして、(2)のSNS経由のライブ配信と、(3)のライブ配信アプリがあり、この違いを知ることは、ライブ・リテラシーを高めるためにも必要です。保護者や教育者も、今後このSNS経由でライブを配信する子どもたちへのフォローが必須になってくるのではないかと考えています。
(2)のSNS経由のライブ配信は、Facebook Live、LINE Live、Instagram Live、Twitter Live、TickTock Liveなどが挙げられます。YouTubeもライブを配信しています。
私が代表を務める一般社団法人日本メディアリテラシー協会に依頼される相談はコロナ休校以前より、中学生の子どもをもつ保護者、教育者や行政からの相談が去年の4倍近くになりました。たとえば、コピペではなく、スマホのスクリーンショットが主流になる子どもたちにとって、ライブ配信はスマホで友達に電話することと同じような感覚のようです。
休校中に、クラスメイトの1人がライブ配信をして、クラスのみんなでコメントをしあうようなことも多々あり、その様子をスクショで撮影し、ストーリーズなどの機能を使ってSNSに投稿し、問題になったケースもありました。
SNSのアカウントが非公開アカウントであっても、同じクラス同士の友達に悪気はなく無断でスクショをして他の友達にシェアしたことで傷ついてしまうことがあるのです。
子どもだけでなく、大人もライブ配信が大流行しています。たとえば、コンサートやイベントなど、コロナによって中止された行事は、オンライン化したことにより、参加者同士の強いネットワークやコミュニティーが誕生しました。
今まではコンサートに参加しても、どのような参加者が来ているのか、隣の席の人の名前や仕事など知ることはできませんでしたが、オンラインだからこそ、参加者同士のつながりももてるようになりました。
無観客のコンサートをYouTubeライブで配信したアーティストもたくさんいましたが、YouTubeの収益として着目されているのが「Super Chat」というサービス。視聴者から配信者に対して、100円~5万円を送れて、金額によってコメントの色や表示時間が変化します。
リアルタイムで多数のコメントが流れていく中、自身のコメントや質問がより配信者に気づいてもらいやすくなるのです。視聴者が積極的にライブ配信に参加でき、配信者の収益にもつながる仕組みになっています。コンサート会場で生のライブを聴くことも格別ですが、まったく新しいオンライン上のイベントにも、別の楽しみ方があるようです。
専用アプリでのライブ配信
そして最後に(3)の専用アプリを使ったライブ配信について。現在、人気でユーザー数も視聴者数も多いのは、
- 17Live(イチナナ)
- Live.Me(ライブミー)
- SHOWROOM(ショールーム)
- Pococha(ポコチャ)
- MixChannel(ミクチャ)
というアプリになります。ライバーとはライブストリーマーの略で、ライブ配信アプリの中で発信をしています。ライブ配信アプリは日本では24種類ほどありますが、国外で流行しているアプリも多く、今後成長していく分野になるでしょう。
ライブ配信アプリに登録すると、まず驚くのが小学生や中学生といった子どもたちがライブ配信している姿をよく見ることです。公園や学校の教室など、遊びの一環で楽しそうな姿が見られます。SNSは13歳以上でないと利用できないことがほとんどですが、ライブ配信アプリは、どうでしょうか。
大手である17Liveなどは、親の同意が必要で、自分がライバーとして配信する場合も、年齢制限は満12歳以上です。ただし18歳未満の人は配信する時間帯に制限が設けられており、22時から翌日5時までは動画配信、音声配信ができないようになっています。
ライブ配信は全年代見れるので、保護者の管理が必要になります。世代問わず、一般市民が自分メディアをもてる新しい時代はすばらしいことですが、一方で、発信者によって情報の質が変わることも危惧しています。
次回は、実際に17Liveのプロライバーとして大活躍する一人の女性にインタビューをして、ライブ配信をするときに気をつけている大切なことについて聞きたいと思います。
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