大荒れ5回途中降板でも「若手の見本」 鷹・工藤監督が39歳和田を評価した理由

22日の日本ハム戦に先発したソフトバンク・和田毅【写真:福谷佑介】

22日の日本ハム戦で先発した和田は序盤から大荒れで5回途中で降板

■ソフトバンク 3-2 日本ハム(22日・PayPayドーム)

22日に本拠地PayPayドームで行われた日本ハム戦に逆転勝ちを収め、楽天と並ぶ首位タイに浮上したソフトバンク。2点ビハインドで迎えた7回に中村晃、松田宣の適時打で3点を奪って試合をひっくり返して、開幕戦以来の首位タイとなった。

この試合でソフトバンクの先発マウンドに上がったのが、和田毅だった。39歳のベテラン左腕のこの日の投球はお世辞にもいい出来とは言えなかった。ボールを操れず、再三再四、走者を背負う苦しい投球が続いた。

初回は2死から近藤に二塁打、中田に四球を与え、大田には右前安打を浴びた。あわや先制点献上という場面だったが、ここは上林のレーザービームで失点を阻止。流れを渡さずに済んだものの、初回だけで31球を要した。

2回以降も苦しい内容は変わらなかった。2回は自らの失策なども絡んで1死満塁とされたが、西川の一ゴロ併殺で窮地を脱した。4回も無死一、二塁と走者を背負ったが、なんとか後続を封じてゼロを並べた。4回を終えた時点で和田の投球数は95球に達した。

そして5回だ。先頭の西川に四球を与えると、杉谷にはバスターエンドランを決められて、またしても無死一、二塁のピンチを招いた。近藤を遊飛に打ち取ったところで球数が105球となり、和田は降板。あとを受けた泉が暴投と適時打で点を失い、和田は2失点となった。

投手に必要な「悪い時にどうするか」という能力

4回1/3を投げて、5安打4四球で2失点。5回途中での降板で、先発としての役割を果たしていたとは言い難い。だが、この日の勝利は和田の粘投あってこそ、でもあった。だからこそ、工藤公康監督も試合後に「ある意味、今日のようななんとかしていくピッチングが若手の見本になると思います」と称えたのだった。

5回まで得点圏に走者を背負うこと、実に4イニング。制球も安定せず、5安打4四球と苦しんだ。「今日はなにひとついいところがなかった。調子が悪い中でももう少し何とかしないといけない」という和田のコメントからも、この日の内容の悪さが伺い知れる。とは言え、4回までは無失点。5回に2点を失ったが、これはリリーフ陣が失ったものでもあった。

工藤監督は試合後、こう語っている。

「ピッチャーはいい時ばっかりではない。悪い時にどうするか。ピンチもあるでしょうけど、そういう時になんとかして繋いでいくことが大事だと思います」

悪い時にいかに少ない失点で凌ぐか。大量失点することなく、何とか試合を作った状態でリリーフ陣にバトンを渡せるか。この能力こそ、先発ローテを担う投手に求められる能力である。絶好調で迎えた試合で抑えられるのは当然。調子が普通のとき、そして、悪い時にどう抑えるか、が大事なのだ。

実際、先発投手が1年間投げ抜く中で、調子がいい状態で投げられる試合はほとんどないと言われている。大半はさほど調子が良くない状態で迎えなければならない。その中でいかにチームを勝利に近づけるか。この日の和田のピッチングは、その答えを示しているとも言えた。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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