ソフト女子・宇津木HCが術後のエース上野の状態明かす 「ものすごく調子がいい」

ソフトボール日本代表・宇津木麗華ヘッドコーチ【写真:荒川祐史】

7月22日は上野由岐子投手の誕生日、東京五輪の開幕戦予定だった

13年越しの金メダルへ――。日本ソフトボール協会は、22日、東京・ジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエア内でソフトボール女子TOP日本代表チームの新ユニホーム発表、ならびに今後の強化活動についての会見を行った。会見にリモートで出席した宇津木麗華ヘッドコーチが、昨年に顔面にボールを受け、顎を骨折したエースの上野由岐子投手の現状を明かした。

東京五輪が開催されていれば、7月22日が特別な日だった。開会式に先駆けて、福島・あづま球場でオープンニングラウンド・オーストラリア戦が開催。上野にとっては38歳の誕生日でもあった。大会は来年の7月21日に延期。スタッフ、選手たちは1年後に向けて、気持ちを新たにした。代表ユニホームも一新し、会見では山田恵里選手が昇る太陽をイメージした真っ赤なユニホームを着用し、お披露目した。

新型コロナウイルスの感染拡大で、4月3日に予定されていたメンバー発表も延期に。候補選手たちが集まることもできないため、協会もコーチたちも選手たちの現状を知ることに時間を要している。

中でも気になるのが、上野の現状だ。

昨年4月に日本リーグ戦に打球が顔面を直撃。その後、手術を受け、患部にプレートを埋めた。リハビリを経て8月に復帰。今年6月にそのプレートを取り除く手術を受けていたことを指揮官が明かした。

患部固定のために入れたプレートを除去する手術を受けた

宇津木HCは上野の体や投球の状態をチェックしていた。

「いろんなアドバイスとか、たまにピッチングを見たりはしました。本来なら、今日は開幕ですし、彼女も今日に合わせて調整してきたので、調子悪いわけでは無い。ものすごく調子いいですね」

この7・22からの東京五輪に合わせていたため、コンディションは上々だったという。

「ただ、1か月前に『ちょっと抑えよう』という話をしました。去年、顎にボールが当たった時に入れたプレートはオリンピックの前に取るのが一番と考えて、少しずつ状態が上がってきた。ピッチングに関しては問題ないです」と状態を説明した。

会見では1年後の開幕投手への質問が飛んだが、「開幕投手は1週間前じゃないと自分は決めないので」と時期尚早であることを強調。ただ、もしも、この日、開幕を迎えていたら「今年だったら……上野はないと思います」。上野のコンディションや対戦相手、組み合わせを見て、違う投手を起用していたことを示唆した。

上野だけでなく、金メダルへの思いの強い選手たちは外にも多くいる。この日会見に出席した山田恵里選手もそのうちの1人だ。ソフトボールは9月5日から神奈川・大和スタジアムで日本リーグが5か月遅れで開幕する。代表候補選手たちはリーグ開幕に向け、調整が進めていく。上野の新しい1年の歩みにも注目だ。

本来の開幕だった7・22から、止まっていた針は、大きな目標に向かって、再び動き出している。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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