「NAVERまとめ」終了…ネット情報の質は上がるのか?

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。7月6日(月)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、著述家の北条かやさんが、ネット情報の公共性について述べました。

◆「NAVERまとめ」9月末で終了

LINE株式会社は、キュレーションプラットフォーム「NAVERまとめ」を9月30日で終了することを公式ブログで発表。「NAVERまとめ」は、一般の人がネット上の情報を編集して記事を投稿できるサイトで、月間訪問者はおよそ4,800万人。多くの利用者がいる一方で、外部に著作権がある写真などの無断転載や、不確実な情報を拡散する恐れなども指摘されていました。

「NAVERまとめ」をはじめ、ネット上に数多く存在する"まとめサイト”は、オリジナルの取材をせず、ニュースサイトや他人のSNSなどの引用のみで構成されており、「記事自体の内容は薄く、読んでもあまりためにならない」と北条さん。

例えば、"〇〇について調べてみました”との触れ込みで、検索結果を羅列し、掲載画像も引用したものを使用。そして"いかがでしたか? まだまだわからないことも多いですが……”といった旨の言葉で締められるなど、「責任の所在を曖昧にした記事がネット上に溢れている」と言います。

また、まとめ記事を投稿したユーザーが広告収入を得られる仕組みとなっていることもあり、多くのPVが期待できる「今話題になっているニュースについてまとめている」と北条さんは補足します。

◆「NAVERまとめ」発足から終了まで

そもそも「NAVERまとめ」がスタートしたのは、2009年。その後、個人ブログに代わってSNSが普及するのに伴い、SNSを引用したまとめ記事が増加し、現在のように広告収入を生む仕組みが構築されたのが2012年あたり。ところが、2016年に大企業が運営するキュレーションサイトが虚偽の情報を拡散しているとして問題視され、2017年にはGoogle検索の表示基準が変更になりました。

北条さんは、変更の理由について「こうしたキュレーションサイト(の一部)が嘘の情報を拡散しているから、検索上位に来ないようにしようと」と言い、さらには「Googleは日本語での変更ってあまり公表しないので、異例のことだった」と振り返ります。

2017年以降も、まとめ記事は作成されてきましたが、「検索上位に表示されにくくなったことで、(広告による)収益がだんだんと出なくなった。おそらく『NAVERまとめ』もこうした構造の変化に伴い、儲からなくなった。加えて、著作権の問題などもこれから指摘される可能性もあって終了になった」と北条さんは説明。LINE株式会社は、ヤフーの親会社であるZホールディングスとの経営統合を控えており、公式の発表では、"経営統合とは関係ない”としていましたが、「(統合前に)クリーンにしておかないと、というのはあったと思う」と推測します。

◆ユーザーに求められる「見極める目」

北条さんは「ネット上には、2種類の記事がある」と言います。1つは、"一次情報”と呼ばれるオリジナルの取材記事。そしてもう1つは、それらの情報をまとめただけの"二次情報”と呼ばれる広告(収益)目的の記事やサイト。

ネット上には、それらが混在するなか、Googleは検索の表示基準を変更することで一次情報を検索上位に表示するよう企業努力をしていますが、「ユーザーがそれを見極める目を持たないと、(二次情報に)騙されてしまうことがある」と注意を促します。とはいえ、現在のようなコロナ禍や災害のときなどは、「有用な情報があればすごく生活の役に立つものなので、Googleに頼りつつではあるけれど、(正しい情報を見極める)目を養っていかないといけない。一次情報を見ましょう!」と呼びかけていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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