今季初の単独首位浮上 鷹・工藤監督はなぜ4番中村晃&5番栗原にしたのか?

ソフトバンク・中村晃(左)と栗原陵矢【写真:藤浦一都】

3回のチャンスで勝ち越しの適時二塁打を放った4番中村晃

■ソフトバンク 4-1 日本ハム(24日・PayPayドーム)

ソフトバンクは24日、本拠地PayPayドームで行われた日本ハム戦に4-1で逆転勝ちし、今季初の単独首位に浮上した。1点を先制されたが、3回に3番柳田、4番中村晃の連続適時打で3点を奪って逆転に成功。6回には栗原が25打席ぶりの安打となるソロを放ってダメを押した。

勝負を決めたのは4番のバットだった。3回。先頭の周東が右前安打で出塁すると、今季初の盗塁を決めて二塁に進んだ。1死となり、今宮が右前安打で繋ぐと、柳田が左前へと落とす適時打で同点に。さらに7試合連続で4番に座る中村晃が左中間を破る2点適時二塁打。これが決勝打となった。

7月17日にプロ初の4番に起用された中村晃。そこから7試合続けて、その位置に座る。本来は決して“4番タイプ”とは言えない中村晃をなぜ、工藤監督は4番に据えるのか?

「決勝打に繋がったところですけど、本来は繋ぎの4番。柳田くんが出て、粘られて粘られて四球というのが1番ピッチャーとしてもイヤですし、それに1番長けているのは中村くんだと思っている。チャンスを広げてもらう、というのが得点の可能性が広がっていく。そこを頑張って欲しい」

工藤監督の思惑としては、決して4番・中村晃はポイントゲッターではない。5割近い出塁率を誇る柳田が塁に出た後、さらに相手投手にプレッシャーをかけてチャンスを拡大できるのは誰なのか。まさに“繋ぎの4番”として中村晃をそこに据えている。

栗原の5番起用は「昨日の打っている感じも良かった」

そして、この日は、この3番柳田、4番中村晃に続く5番に、26試合連続で1番に座っていた栗原を置いた。ここ最近、打撃の調子を落とし、22打席連続ノーヒット。不振のための1番陥落、と思いきや、その狙いは別のところにあったと工藤監督は言う。

「晃くんの次っていうところのチャンスでの1本をどうするか。昨日の打っている感じも良かったですし、1番で出てもらえるのも大切ですけど、チャンスができたところの1本を彼に期待して5番にしました。感じが良くなってきたので5番に、と思っていました」

22打席ノーヒットと苦しんでいた栗原だが、工藤監督をはじめとする首脳陣は四球、中飛、左犠飛だった前日の凡退の内容に少なからず復調の気配を感じ、チャンスを生み出す3番、4番に続く5番に据える決断に行き着いた。

そして結果論とは言え、その3、4、5番でこの日の全得点を叩き出す結果となった。“繋ぎの4番中村晃”と、その脇を固める仲間たち。チーム状態は決して良くはない中での単独首位浮上は、この中軸たちと投手陣によるところが大きい。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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