【北海道の鉄道発祥地 幌内線・鉄道遺産を訪ねて (3)】いにしえの鉄道の記憶を今に伝えるクロフォード公園(旧三笠駅跡)

(前回)【北海道の鉄道発祥地 幌内線・鉄道遺産を訪ねて (2)】駅は人が集う地域の宝「唐松駅」
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幌内線(岩見沢~幾春別(いくしゅんべつ)・三笠~幌内)は、開拓時代の1888(明治21)年12月10日に全線が開通した歴史ある路線です。JR北海道発足直後の1987(昭和62)7月13日 に廃止されましたが、今も街の随所に鉄道の面影が残されています。第3話は三笠駅の跡地に作られた「クロフォード公園」を紹介します。

石炭輸送の主要駅だった三笠駅

まるで教会のような佇まい

三笠駅は幌内鉄道の主要駅として1882(明治15)年に開業しました。当時の駅名は幌内太(ほろないぶと)でしたが、1942(昭和17)年の町制施行で三笠町に変更されたのに伴い、1944(昭和19)年4月1日に三笠駅に改称しました。

三笠鉄道村の一部として位置づけられている

1990(平成2)年に三笠駅跡地は「クロフォード公園」として生まれ変わります。「欧米か?」と懐かしいツッコミを受けそうな公園名は、北海道開拓使顧問として官営幌内鉄道建設を指導したアメリカ人技術者であるジョセフ・ユリー・クロフォードにちなんで命名されています。

北海道にゆかりある車両を展示

ホームと跨線橋は当時のまま
お召列車を牽引した誇らしい経歴を持つDD51 548

ホームに停車しているDD51は、1968(昭和43)年に行われた「北海道100年記念式典」に昭和天皇・皇太后両殿下がご臨席した際に、地方情勢を観察のため道内を行幸啓されたお召列車を牽引しました。残念ながら幌内線に乗り入れることはありませんでしたが、鉄道の歴史をとどめるクロフォード公園に展示されるにふさわしい車両です。

実際には幌内線に特急車両が乗り入れたことはない

クロフォード公園には1961(昭和36)年に、北海道初の特急として誕生した「おおぞら」に使用されたキハ82のほか、車掌車やホッパ車などが展示されています。

カラマツトレイン三笠店

幌内太駅が再現された駅舎内では、幌内線で使用されていた備品を展示するほか、さまざまなグッズが販売されています。レアな一品からオリジナル商品まで幅広く扱っているファン垂涎の鉄道ショップです。

トロッコ鉄道を楽しもう

機関車はシェルパ号・初音号・SLミカサ号・幌内号の4両が牽引

幌内までの廃線跡2.5kmの区間が整備され、2010(平成22)年4月29日から、「三笠トロッコ鉄道」が営業を開始。自分で運転する「運転体験トロッコ」、モーター車が牽引する「展望トロッコ列車」、炭鉱跡を突き進む「アドベンチャートレイン」など豊富なバリエーションを楽しむことができます。

受け付けは「運転体験トロッコ」はクロフォード公園、「展望トロッコ」は鉄道村内専用受付で行っています。展望トロッコの運行区間は(鉄道村→初音町(トロッコターミナル)→鉄道村)で途中下車は出来ません。なお、2020年度のアドベンチャートレインの運行は6月15日現在運休中です。トロッコ鉄道の営業日などは公式ホームページなどでご確認ください。

多くの人が暮らしていたことが伺える

沿線には炭鉱住宅 (炭鉱に従事する人々や家族の住宅)や市営住宅が多く残されており、まるでタイムスリップしたような感覚です。かつて多くの人が暮らした幌内地区の人口は2016年時点で500人と減少し、空き家が目立つようになりました。

鉄路は消えても鉄道の思い出は消えることはない

すでに三笠に鉄道はありませんが、先人たちが北海道で最初(全国で3番目)に鉄道が建設されたことを誇りにしていることが伝わりました。この先も鉄道や石炭の歴史を三笠の子どもたちが伝え残してくれることでしょう。

文/写真:吉田匡和

【北海道の鉄道発祥地 幌内線・鉄道遺産を訪ねて (4)】は2020年7月26日(日)10時頃の掲載を予定しています。(鉄道チャンネル編集部)

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