劇的サヨナラ満塁弾のDeNA佐野恵太 ラミレス監督も認める成長と連敗止めた行動

DeNA・佐野恵太【写真:荒川祐史】

9回2死満塁で3試合連続本塁打となる劇的なサヨナラ満塁本塁打を放った佐野

■DeNA 9-6 広島(24日・横浜)

DeNAは24日、横浜スタジアムで行われた広島戦に9-6で勝利した。2点ビハインドの9回裏に佐野が逆転満塁本塁打を放って、劇的なサヨナラ勝ちを収めた。

敗色濃厚かと思われた9回、広島6番手の一岡がいきなり柴田に死球を与えた。続く代打の山下も四球で、5000人に満たない観客でもスタンドは異様なムードに包まれた。梶谷のタイムリーで1点差とし、続くオースティンも四球。劇的勝利への盛り上がりは最高潮に達した。

この日3安打のロペスが初球を打ち上げて捕邪飛。スタンドも一瞬、意気消沈しかけたが、続く佐野が4球目をライトスタンドへ。開幕から27試合本塁打なしだった佐野の3試合連続本塁打が劇的弾となり、ラミレス監督は「パワーヒッターはこんなものだと思う。なかなかホームランが出ず、プレッシャーもあったと思うが、1本出れば続けて出るもの。試合前に今日も一本出るんじゃないかな、と話していた。これも野球だよ」とここ数日、多用している言葉で説明した。

佐野は「当てにいくのが一番よくないと思って、フルスイングを心がけて打席に入った。(打った瞬間は)外野の頭を越えろと思って走った。サヨナラホームランは人生で初めて」と初体験の一発を振り返った。ラミレス監督は「最低でも犠牲フライ、とにかくコンタクトして結果が出ればと思っていた」と最高の結果を喜んだが、自らが主将に指名し、筒香の後の4番を任せた24歳の資質を再認識していた。

22日のヤクルト戦後にミーティングで起こした佐野の行動とは?

無死満塁からロペスが初球を打ち上げて凡退した直後に、佐野は1球目からフルスイングしてファールを打った。ラミレス監督は「初球を打つのは難しいと思ったが、あの状況で打つのは素晴らしい」と積極的な姿勢を評価し「キャプテンに指名したのも、こういうことができる選手だと信じていたからこそ。それだけに今日の結果は嬉しい」と、新たな4番打者に絶大な信頼を示した。

4番打者としても、キャプテンとしても、まだ日の浅い佐野だが、「誰でもできるポジションではない。簡単ではないが、彼もいろいろ経験して、少しずつその役割を理解しつつある」とラミレス監督はその成長を日々実感する。その佐野が連敗中にキャプテンとして行ったことがある。「(22日のヤクルト戦で)引き分けた試合の後、ミーティングで『こういう時だからこそ、ベイスターズらしく、雰囲気よく戦いましょう』ということをみんなに話した」。その翌日に6対0と完勝でチームは連敗を止め、この日は劇的な勝利だった。

指揮官が「ようやく佐野のチームでの役割というか、カラーのようなものが出始めてきた」と手応えを感じる新4番の躍進が、借金返済まであと1つとなったチームを上昇気流に乗せる。(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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