手取り月50万の共働き夫婦「25年後に資産5000万を目指す」どう資産形成する?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、35歳、会社員の女性。出産をきっかけに、夫婦別の家計を統一し、25年後に資産5000万円を目指したいといいます。どのように資産形成するべきでしょうか。FPの伊藤亮太氏がお答えします。

結婚9年目、今年子どもが生まれました。今まで夫婦別のお財布、お互いの貯蓄状況も知らずに過ごしてきましたが、出産をきっかけに家計管理及び資産運用をしっかり行なっていきたいと考えています。少し無理があるかもしれませんが25年後に資産を5000万にしたいです。目標達成のための適切な収支、資産運用についてご相談したいです。

【相談者プロフィール】

女性、35歳、既婚(夫37歳)

職業:会社員

子ども:1人(0歳)

住居の形態:賃貸

毎月の世帯の手取り金額:50万円

年間の世帯の手取りボーナス額:60万円

毎月の世帯の支出の目安:32万円

【毎月の支出の内訳】

住居費:12.1万円

食費:5万円

水道光熱費:2万円

教育費:1万円

保険料:なし

通信費:1万円

車両費:なし

お小遣い:7万円

その他:4万円

【資産状況】

毎月の貯蓄額:10万円

現在の貯蓄総額:1300万円

現在の投資総額:20万円

現在の負債総額:0

ボーナスからの年間貯蓄額:なし


伊藤: ファイナンシャル・プランナーの伊藤亮太です。回答させていただきます。

教育費の確保したうえで、25年後にいくら貯められる?

まず、お子さまが生まれて間もないため、お子さまの教育資金確保からはじめていくべきかと考えます。毎月の貯蓄のうち、1万円でも2万円でも子ども保険(学資保険)に加入し、大学などの学費をいまのうちに確保していきましょう。ここでは仮に月2万円を子ども保険に加入したと仮定します。

次に、残りの毎月の貯蓄8万円を今後も継続して貯蓄ができたと仮定します。給料が上がっていく可能性もあると思います。上がった分で今後必要となる教育費は確保することができるでしょうか。将来のことは誰もわからないため、いったん上がった分は今後必要となる資金に使用することと仮定し、給料は現状のまま考えます。

単純にいえば、貯蓄8万円×12ヵ月=96万円となります。また、毎年のボーナスが現状のまま続くと仮定し、半分ぐらいは貯蓄できたとすると30万円が貯蓄に加わります。つまり、年間でトータルで126万円の貯蓄です。これが25年間続いたとすると、3150万円貯蓄できる計算になります。現在の貯蓄総額が1300万円であるため、合計で4450万円ほど貯蓄のまま続ければ資産が構築できる見通しです。

5000万に届かない分を、どう運用で増やすか

仮にボーナスを満額貯蓄すればさらに資産は増加しますが、なかなかそれは難しいと思います。そのため、運用により5000万円に到達できるように検討します。毎年126万円の貯蓄のうち、半分の63万円を預金に、残り半分を年一回にまとめて投資にまわしたと考えます。預金は昨今の金利情勢を考慮して、金利ゼロとして考えます。投資に関しては年3%の複利で運用できたとします。この結果を試算すると、預貯金は1300+63×25=2875万円、投資結果は2296万円となり、合計で5174万円となります。収支が現状のままでも5000万円の資産構築は可能となりました。

つみたてNISAの利用は必須

あくまでも概算であり、貯蓄なども今後の家庭状況によって変化するため、とりあえずこの結果に近いものが構築できるように資産運用を検討していくことにします。年3%の複利運用を行うためには、つみたてNISAの非課税投資の仕組みを利用することを前提とします。こうすることで、税金面でも優遇をうけられるためです。つみたて投資の非課税期間が終了するまで継続し、年間40万円分はつみたてNISAで、それ以外の部分は通常の運用で行います。

どこに投資するべきか?

資産配分ですが、世界全体の経済成長率は年3%~4%前後であり、これが今後も継続できるならば、単純に考えれば世界全体への投資を行うことを検討すれば目標達成できると考えます。そこで、インデックス型の世界株式投信での運用を検討してみましょう。できるだけ販売手数料が無料で、信託報酬が低いものを選び、コスト面でも抑えていきましょう。

すべてを1点集中で運用を行うのもリスクであると思いますので、インデックス型の世界株式投信を中心としつつ、何かあった時の備えとして金価格連動型の投資信託、世界の債券に投資する投資信託も入れておくとリスクヘッジにつながります。

例えば、年63万円の運用資金のうち、40万円をつみたてNISAでインデックス型の世界株式投信に、残り13万円を金価格連動型の投資信託に、10万円を世界の債券に投資する投資信託といった配分でやっていくのはいかがでしょうか。攻めをメインとしつつ、何かあった場合の備えも行います。これとは別に預金もコツコツ貯めることができていくと思いますので、全体で見ればそこまで思い切ったリスクをとった運用とはならないと思います。

定期的な見直しを忘れずに

なお、年に1~2回は見直しを行っていきましょう。今後のコロナ情勢等によっては株価が再度下落する側面もあるかもしれません。そういったタイミングを見計らい下がったときに投資するスタイルも後々構築していくと良いでしょう。とりあえず現状では、毎月コツコツ積み立てにより運用を行っていくのが無難だと思います。

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