自治体対応慌ただしく 高鍋で県内初クラスター

感染拡大を受け今後の対応方針について議論した新型コロナウイルス感染症対策本部会議=25日午後、県庁

 高鍋町で県内初のクラスター(感染者集団)の発生が確認された25日、日ごとに深刻化する事態に、県や感染が確認された自治体では、職員らが慌ただしく対応に追われた。「これまでの発生状況とは明らかに違う」―。止まらない感染拡大に緊張が高まった。
 県が31~36例目の感染者について県庁で会見を開いたのは25日午前1時半。1日に確認された感染者は最多の9人に上った。深夜にもかかわらず河野知事が姿を見せ、険しい表情で「4月よりも広がりがみられる」と危機感をあらわにした。
 24日に4人の感染者が確認された高鍋町。職員1人が泊まり込み、25日朝からは計6人の職員が町民からの電話対応に追われた。県は午後3時からの対策本部会議で、同町内の接待を伴う飲食店でクラスターが発生した可能性があると発表。今月1日以降に利用した町民らに高鍋保健所へ相談を呼び掛けたが、ある町職員は「数万人の規模になる。住民が混乱する」と動揺を隠せない様子だった。
 午後4時半、河野知事の会見を見届けた木城町の半渡英俊町長ら幹部は、険しい表情を浮かべながら会議室に向かった。1時間にわたる協議で、公共施設の閉鎖や町外への移動自粛要請の方針を固めた。半渡町長は「市中感染やクラスターの可能性がある中で、感染拡大防止と社会経済活動の両立は困難。今は感染拡大防止を最優先に考えるべき段階だ」と、県の方針に疑問を投げ掛けた。
 男子児童の感染が確認された西都市では、同日午前8時半ごろ、押川修一郎市長や幹部職員らが神妙な面持ちで会議室へ。学校名などを公表すべきかを巡って意見が分かれ、協議を中断する場面もあった。
 会議は午後4時すぎまで断続的に開かれ、プライバシーに配慮して公表見送りを決めた。押川市長は会議後「感染した男児を守りつつ、3密回避などを徹底することで感染拡大防止を阻止する」と力を込めた。
 感染者が確認されなかった都農町も、児湯郡内で感染が拡大していることから、幹部職員らを緊急招集。河野正和町長は「これまでの発生状況とは違う。防災行政無線などで情報を伝え、新しい生活様式を徹底してもらう」と強い危機感を示した。

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