[大弦小弦]名護七曲り

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 名護市の市制50周年で、市内の名所旧跡が記念切手になった。名護城(ナングスク)のカンヒザクラや羽地内海、ひんぷんガジュマルなど、旅心誘われる風景10選

▼市への贈呈式でひとしきり話題になったのが「旧名護七曲り」だった。許田から市街地までの海岸線は、かつて幾重にも曲線が連なる交通の難所で、1975年の海洋博に向けて埋め立て整備された

▼車は便利になったが、失われた風情を惜しむ声は多かった。許田出身の赤嶺昌則さんは著書で「山あり川あり海ありの名護曲りの春色を見、秋声を聞いてきた。その風趣と魅力は決して忘れ得ない」とつづっている

▼「車は楽しみに行くためではなく、楽しみながら走っていた」。高速道路の開通で寂れた旧街道の田舎町に迷い込み、心の豊かさとは何かを見つけていく人気アニメ映画「カーズ」の一場面。昔を懐かしむヒロインのせりふが意味深い

▼その町に高速道路がつくられて時間は10分短縮された。山の上から見渡せば、高速の車中からは気付かない雄大な景色が広がっている。効率化の陰で大切なことを見失っていないかと問い掛けている

▼護佐喜御宮、屋部川水門、久志の観音堂-。記念切手にまだ知らぬ3カ所があった。週末は遠回りも思い出作りのドライブと決め込んで、1カ所ずつ訪ねてみることにしよう。(粟国雄一郎)