中日2年目勝野、ローテ定着に必要なことは? 藪恵壹氏が語る先発のポイント

中日・勝野昌慶【写真:荒川祐史】

今季3度目の先発で6回無失点の好投「いいアピールができた」

■中日 1-0 阪神(25日・ナゴヤドーム)

中日は25日、ナゴヤドームでの阪神戦に1-0で勝利した。この日、勝利投手こそ逃したが、6回を4安打7奪三振2四球無失点と好投したのが、2年目右腕の勝野昌慶だった。開幕ローテ入りしていた柳裕也、吉見一起が離脱。ローテ定着を目指す勝野は、1軍昇格3戦目で大きなアピールに成功した。

7月11日に今季1軍初先発に臨んだ勝野は2回6失点とKOされ、18日の阪神戦でも4回2失点と粘れなかった。だが、この日は初回から落ち着いたピッチングを披露。力強いストレートで押し込みながら、カーブ、スライダー、フォークと多彩な球種でアグレッシブに攻めた。阪神OBで野球解説者の藪恵壹氏は「今日はとてもいいピッチングをしていました」と称賛する。

「中日は大野、柳、梅津、吉見、山本、岡野で始まった先発ローテのうち、柳と吉見が抜けてしまい、その穴を誰かが埋めたいところ。勝野は今日のピッチングでいいアピールができたと思います。真っ直ぐもいいし、フォークが良かった。マウンドでの立ち姿も落ち着いていました」

降板直前の6回には、先頭サンズにセンターへ二塁打を運ばれ、無死二塁。ここから4番・大山、5番・ボーア、6番・福留と長打の怖い打者が続いたが、大山をレフトフライに打ち取ると、ボーアを二ゴロ、福留を空振り三振とし、ピンチを逃れた。

チームが1点を加えたのは勝野が降板した後で、今季初勝利こそ逃したが、試合後には満面の笑みを浮かべる姿を見せた。中日には、勝野の他にも松葉貴大、笠原祥太郎ら1軍ローテ入りを目指す先発投手が多い。ライバルの存在が気になるかもしれないが、こんな時こそ自分のパフォーマンスに集中するべきだと藪氏は言う。

「ローテ入りを狙う他の投手の成績は気にしないことが一番」と藪氏

「ローテ入りを狙う他の投手の成績は気にしないことが一番。まずは自分のピッチングに集中して、クオリティスタート(6回以上自責点3以下)を目指すことが大切です。自分がいいピッチングができれば、ローテに定着できる。そのためにも、今日のようなピッチングが最低限できるようになりたいですね。こういう内容の試合が続けば、必ず使ってもらえます」

今季の中日は開幕前から投手の層が厚いとされてきたが、借金が大きくかさんでリーグ最下位と低迷。この日、今季2セーブ目を挙げたR・マルティネスがセーブ機会に登板したのは、実に15日DeNA戦以来、1週間ぶりのことだった。当初、クローザー起用予定だった岡田俊哉が安定感を欠くなど、開幕から1か月を過ぎて配置転換が必要となっている。

「これだけ投手がいるのにもったいない」と言う藪氏は「クローザーはマルティネスにして、8回のセットアッパーも固定した方がいい。祖父江→マルティネスで、8回と9回を固定すれば落ち着いてくるのでは」と話す。

シーズン120試合と短い今シーズンは、いつも以上に首脳陣の迅速な決断が求められる。中日の浮上のカギを握るのはどんな決断なのか、先発ローテ入りの糸口を見つけた勝野は粘り切れるのか。今後も見どころは多そうだ。(佐藤直子 / Naoko Sato)

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