ジャニーズには、司会やコメンテーターとして活躍するタレントがたくさんいるが、「人生相談をしたくなるアイドル」といえば亀梨和也ではないだろうか。本人は意識していないと思うが、ラジオのリスナーからちょっとした相談や進路などの悩みごとを持ちかけられ、相手の立場に立って放つ言葉は、的確で前向きでありながら、温かい心根を感じさせる。
「最初はつらいけどペースをつかめばあっという間」
毎週土曜日のラジオ『KAT-TUN 亀梨和也のHANG OUT(FM NACK5)』には、アポなしでリスナーに電話をかける「アポなしテレフォン」というコーナーがある。7月25日放送で電話をかけたのは、「国家資格に挑戦したいので、亀梨くんに宣言して頑張りたい」という、派遣会社でコーディネーターとして働くママ、Aさん。
「今、お電話大丈夫ですか?」一般人には当たり前かもしれないが、そんな相手を気遣う言葉が自然に出る亀梨。Aさんは、仕事上役に立つ国家資格の取得を検討しており、コロナ禍で予定もなくなり挑戦しようと考えたという。けれども、資格取得のためには、約3ヵ月間、毎週末、片道200キロかけて車を運転して約8時間の講習を受けるのは体力的にもきつく、迷っていたそう。
「お子さんのこと、ご家族の理解があって生活の面でクリアできているんだったら、ぜひぜひ頑張って」と亀梨に言われて「亀梨くんと話ができたので、資格を取ります!」と宣言した。
「3ヵ月はあっという間。亀ちゃん(Aさんが亀ちゃんと呼んだのに合わせて)が映画やドラマを撮るときの3ヵ月もそんな感じ。毎日睡眠時間が何時間というなかで、どんなにリハーサルなど準備をしていても、最初の数日は身体がびっくりする位(疲れが)ドッと出たりするけど、始まってペースをつかめば、けっこういけるよ」と、自分の経験を重ねながら話した。
様々な角度からモノを見てプラス要素を見つける柔軟さ
これだけでも、「亀梨くんでさえこんなに頑張っているのだから」と勇気をもらうが、授業が全部で100時間近くあるとざっと計算し、「100時間頑張ったら違う自分に会えると思って頑張って。なおかつ、国家資格を取ったら、派遣の仕事を求めている人たちのためになるわけだし、すごくステキだと思います。しかも、片道2時間半という移動時間も考えごとをしたり、自分のいい時間に充てられるかもしれない。もちろん安全第一で、雪道の運転気をつけて」と、友達と話すような親しみを込めた語り口でエールを送り、合否が分かる頃にまた『アポなしテレフォン』をすると約束した。
家族の理解、自分の成長、関わる人に及ぼすメリット、様々な面から励まし、なおかつ安全運転を促し、結果まで見届けたいと話す亀梨。マイナス要素もプラスに転換する前向きな発想が素晴らしい。だからこそ、リスナーから「亀梨くんならどうしますか?」といった類のメールも多いのだろう。
20歳の亀梨の礼儀正しさに驚いたスガシカオ
KAT-TUNはデビュー当時、ジャニーさんに「自由にやりなさい」と言われ、ステージ上ではオラオラな雰囲気を前面に出していたが、KAT-TUNだけがヤンチャでどうしようもなく態度が悪かったわけではなく、バラエティ上の演出、リップサービス的な側面もあるのではないだろうか。
例えば、亀梨の場合、デビュー曲のReal Faceの作詞を担当したスガシカオが出会った頃を振り返り「二十歳でこんなに礼儀正しいのはすごいと思った」と語っており、今でもお付き合いが続いているという。
また、映画「バンクーバーの朝日」で共演した妻夫木聡は、「亀梨くんは意思の強い男っぽさと女性のような柔らかさを兼ね備えたユニセックスな人」と雑誌で語り、ドラマで共演しユニット曲もリリースした玉置浩二は「亀梨は本当にいいやつ、いい男」とラジオで話している。たまたま会った一般人が「礼儀正しく謙虚で、誰に対しても態度が変わらない」とSNSでつぶやいているのを目にする。
亀梨の根っこにある「人が好き」「人を敬う気持ち」
デビュー当時の印象は強烈で、チャラい不良のイメージは今もついて回るかもしれないが、亀梨の場合は、当時から真面目で礼儀正しく、周りを気遣うエピソードは数え切れない。
7月25日のラジオでも話していたが、「基本的に新たな環境で、人と交わるときは、どういう方でどういう考えを持っているかをまず尊重する、敬意をもった中で自分が存在するようにしている」と話した。
とんねるずの石橋貴明が、芸能界でトップスターになることについて、「運もタイミングも必要だが、努力をしていないと運とタイミングにのれない。長く芸能界で生きていくには、冷静に芸能界の自分の位置をつかんで、冷静に。売れても勘違いをしないで謙虚さを貫いてこそ、次のステージにいける」と話している。
亀梨の場合、人に敬意を持つ謙虚さで、次々と上のステージに上がっていく姿勢は十分備わっている。豊かな人間性を生かせるMCの仕事なども見てみたいと思う
〈ライター/佐藤ジェニー〉