「19名の命を忘れません」 献花絶えず、遺族ら誓い新た

やまゆり園事件から4年。献花台にささげられたメッセージカードには、「19名の命を忘れません」と書かれていた

 「あなたたちを忘れない」─。相模原市緑区の県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件から4年となった26日、建て替え工事が進む施設の敷地内に設けられた献花台に近隣住民や園関係者らが次々に訪れた。時折雨が強く打ち付ける中、19人の犠牲者を悼み、静かに手を合わせた。

 3月に事件の裁判が終結し、元職員植松聖死刑囚(30)の死刑判決が確定して初めて迎えた「追悼の日」。小雨が降る午前9時ごろには、社会福祉法人「かながわ共同会」の草光純二理事長ら園関係者が訪れた。

 献花台を前に理事長らと横一列に並んだ入倉かおる園長は手を合わせ、約15秒間黙とう。「あの日までの楽しかった園での生活を思い出しながら、花を手向けた」。園家族会の大月和真会長は「19人のみ霊よ安らかに、と祈った。裁判が終わって一定の区切りはついたが、園再生への取り組みは始まったばかり」と静かに語った。

 黒岩祐治知事と本村賢太郎相模原市長も献花に訪れ、知事は「なぜ事件が起きたのか、改めて見つめ直さなければ。ともに生きるということを否定する差別の心は絶対に許してはいけない」と力を込めた。

 事件を風化させまいと誓いを新たにする人々も。事件で息子の一矢さんが重傷を負った尾野剛志さんは妻チキ子さんと並んで手を合わせた。「4年前にここに駆け付けたあの日の朝と、気持ちは変わっていない。裁判は終わったが、事件を無にしないようにこれからも伝え続けていく」

 元園職員で地元住民らでつくる「共に生きる社会を考える会」共同代表の太田顕さんはメンバーとともに献花。「事件を風化させてはいけないという思いは強くなっている。悲しい事件を二度と起こさせないように活動を続けていきたい」と誓った。

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