母親(40)と小学生の娘(8)が死亡した諫早市高来町の轟峡の崖崩れから一夜明けた26日朝、県と諫早市の職員計約40人が現場に入り、崩落した遊歩道周辺の状況を確認した。市は「一連の大雨が引き金になったことはほぼ間違いない。崖崩れが起きたメカニズムや安全管理など専門家や住民の意見を聞き、原因を解明したい」とし、再発防止に向けても調査する考えを示した。
県と市職員は調査前、事故現場近くで黙とう。S字形の遊歩道(延長134メートル、幅約2.5メートル)が県道脇から崩れ寸断された状況や、堆積した岩などを写真や動画で撮影。周辺は土砂災害警戒区域(一部は土砂災害特別警戒区域)だが、県の担当者は「現時点で地下水が増え、鉄砲水が発生した跡は見られない」と述べた。
市によると、高さ約20メートル、幅約10メートルにわたって崖崩れが発生。7月1~25日までの累計雨量は轟峡から北東に1.8キロ離れた黒新田観測所で1175ミリ、南に4キロの高来観測所で1092ミリに達し、例年の平均雨量の2倍を超えていた。
市はまた、今月初めの豪雨後に遊歩道の清掃などを委託する諫早観光物産コンベンション協会を含めて複数回、遊歩道の状況を確認しており「落石などの異常はなく、通行止めにしていなかった」と説明した。轟峡一帯を当面、閉鎖する。来月1日のこどもヤマメ釣り大会は中止した。
宮本明雄市長は被災者に哀悼の意を示し「原因解明を進め、二度と痛ましい災害が発生しないよう、でき得る対応に取り組む」とするコメントを発表した。
県は26日、崖崩れで死亡した母親と娘を今月の豪雨災害による死者と認定。一連の災害による県内の死者は計3人となった。県によると、崖崩れに巻き込まれた中学生の姉(12)は左脚を骨折する重傷を負った。県は被害者の氏名について「遺族の希望により公表を差し控える」とした。