子どもたちにかつらを 栃木県内でもヘアドネ浸透 俳優らSNSで情報発信

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約10年かけて伸ばした髪を切る大沼さん。「また寄贈したい」と話す=12日午後、宇都宮市

 病気で髪を失った子どもの医療用のかつらを作るために髪を寄贈する「ヘアドネーション(ヘアドネ)」。近年は俳優やスポーツ選手らが会員制交流サイト(SNS)でヘアドネの経験を発信し、認知度が向上しつつある。県内でも髪を寄贈するためのカットができる美容院があり、約10年間かけて伸ばした髪でヘアドネをした女性は「誰かのためになればうれしい」。子どもを思う気持ちから、寄贈の輪が広がっている。

 鹿沼市の会社員大沼保子(おおぬまやすこ)さん(46)は、約10年前からヘアドネのために髪を伸ばしてきた。今月中旬、宇都宮市岩曽町の美容院「KEIJI CLASS本店」を訪れ、寄贈するために約90センチまで伸ばした髪をばっさりとカットした。

 そもそも大沼さんが髪を寄贈しようと思ったのは、親が病気で輸血をしたことがきっかけ。恩を返そうと献血を試みたが、貧血体質で難しかったため「違う形で病気の人のためにできることはないか」とヘアドネをすることに決めた。

 伸ばしている間は、服を着るのも一苦労だったが「ロングを希望する人がいると聞いていたので何とか伸ばしてきた」と振り返る。

 同美容院は8年ほど前、全国から髪の寄贈を募って子ども用かつらを無償で提供しているNPO法人「Japan Hair Donation&Charity(JHD&C、ジャーダック)」(大阪市)の賛同サロンに。寄贈のため髪を束ねて切る「ドネーションカット」の受け付けを始めた。

 同美容院の中村啓二(なかむらけいじ)代表(58)によると、登録当初は希望者が月に1人ぐらいだったが、最近は月9~10人に増加。著名人の発信などで「県内でも希望者が増えているのではないか」と話す。

 宇都宮市御幸町の「ひろゆき美容院」も昨年春、同法人の賛同サロンへ登録した。担当者によると既に海外で認知されているせいか、当初は外国人のヘアドネ希望者が多かった。ただ最近は、10歳未満から中高年まで幅広い世代が店を訪れるという。

 国内ではJHD&C以外にも、髪の寄贈を受け付ける団体が複数ある。髪の毛の受け入れ状況や送付の仕組みなどは各団体で異なるため、事前にそれぞれのホームページ(HP)で確認することが必要だ。ドネーションカットができる美容院も、各団体のHPに掲載されている。

 JHD&Cの場合、国内で4千店舗以上の美容院が賛同サロンとして登録されている。このうち、県内の賛同サロンは計68店舗。

切り終わった大沼さんの髪。郵送で団体に寄贈する