中日福、13試合連続無失点から一転… 元同僚だからこそ分かる“異変”とは?

中日・福敬登【写真:荒川祐史】

26日の阪神戦で福は7回途中から登板し同点に追い付かれるなど1回3失点

■阪神 9-3 中日(26日・ナゴヤドーム)

中日は26日、本拠地のナゴヤドームで阪神に3-9で逆転負けを喫した。序盤からリードする展開だったが、7回途中から登板した福敬登投手が誤算。イニングをまたいだ8回に同点に追いつかれ、降板した直後にチームは勝ち越しを許した。開幕から13試合連続無失点から一転、直近の登板3試合で2敗を喫して安定感を失っている左腕を、元チームメートはどう見たのか。

「いつもみたいに腕が振れてなかったと思います。打たれるのを嫌がって、手先で操ろうとして置きに行っている印象がありました」

外野手として中日で昨季まで5年間プレーした友永翔太氏は、勝負の分水嶺となったマウンドを振り返る。キャンプなどでは打席に立って投球を見てきた元同僚なだけに、違いはよく分かった。

福は、7回2死二塁の場面で登板。迎えた阪神の1番・近本光司外野手に中前打を許すも、中堅・大島洋平外野手の本塁へのストライク返球で難を逃れた。単打と四球で無死二塁の窮地を招いた8回は、4番・大山悠輔内野手を三ゴロ併殺打に仕留めて事なきを得たかと思ったが、直後に暗転。続くジャスティン・ボーア内野手に四球を与えて一、二塁とすると、福留孝介外野手に外角寄りの142キロ直球を左前に弾き返され、同点にされた。

OB友永氏は開幕当初に比べ球速の落ちを指摘

そこで降板が告げられ、継投したルイス・ゴンサレス投手は3本の適時打を浴びて万事休す。1回3安打3失点(自責点2)の福に2敗目が刻まれた。5失点を喫して開幕からの13試合連続無失点が途切れた7月23日の巨人戦(ナゴヤドーム)からわずか3日後に再び背信。「真っ直ぐの威力がなくて、変化球も入っていなかった。あくまで見た感じですが、疲れているのかなと思います」と友永氏はみる。

ここまでの33試合で、チーム最多タイの16試合に登板。守護神だった岡田俊哉投手の状態が上がってこないこともあり、ブルペン陣では左の一番手として重要な局面を任されてきた。友永氏は、開幕当初に比べて福のストレートの球速が落ちている点を挙げ、打者への影響をこう語る。

「打者は電光掲示板の球速表示をしっかり見ています。3、4キロ違ってくると『あれ?こんなに球見やすかったっけ?』となり、精神的にも全然違ってきます。その時点で打者が優位に立つし、そこで誰かが打てばチームはイケイケになってきます」。まさにこの日は、一気に阪神打線に飲み込まれた印象だった。

最下位を行ったり来たりと苦しい戦いが続く中日。友永氏は「福は今季のキーマンになってくる」と言い切る。昨季まで一緒に戦ってきた左腕について「真っすぐも、変化球も、同じ腕の振りで投げるのが良さ。気持ちの部分でも、より攻めの姿勢を出してくれるといいのかなと思います」。信頼の厚い左腕が躍動しなければ、チームに“福”はやってこない。(小西亮 / Ryo Konishi)

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