ロッテ、米大リーグ・インディアンスなどで活躍した小林雅英氏が解説
■レイズ 6-5 ブルージェイズ(日本時間27日・タンパ)
ブルージェイズの山口俊投手が26日(日本時間27日)、敵地・レイズ戦でメジャー初登板を果たした。1点リードの延長10回から8番手としてマウンドに上がった場面は、今季から導入された延長タイブレーク。厳しい状況での登板に四球と右翼線を破られるサヨナラ打で、1死もアウトを取れず、メジャー初黒星を喫した。ロッテや米大リーグ・インディアンスで抑え経験のある小林雅英氏にこの苦境を乗り越えるための大切な思考を聞いた。
今季は特別ルールとして、9回で決着が付かなかった場合は延長10回無死二塁からタイブレークを行う。アスレチックス-エンゼルスの開幕戦でも導入され、この時はアスレチックスがオルソンのサヨナラ弾で勝利した。
劇的な決着の裏で、苦しい局面を迎えているのは、この日の山口同様に、タイブレークで登板する救援投手たちだ。得点が入りやすいように用意された場面。失点を防ぐことはなかなか難しい。小林氏は山口の初登板について「(タイブレークは)今年だけの特別な処遇ですから割り切るしかありません。救援投手はしんどいと思いますが、自分を見失わないようにしてほしい」と助言を送る。
「俺の出した走者じゃない」「抑えたら自分がヒーローだ」というポジティブ思考が大事
「そもそも、1点が入りやすいように作られたルール。1点は仕方ないと思わないといけません。そのあとの走者を出さない、返さないようにすればいい。相手だって、“点が取れなかったらどうしよう”という気持ちがあるわけですから、心の中は50:50です。山口投手に限らず『俺の出した走者じゃない』『逆にここを抑えたら自分がヒーローだ』と、シンプルかつポジティブ思考が、この場面ででは大事なのではないでしょうか」。小林氏自身も日本でもメジャーでも中継ぎの時は、それくらいの開き直りで登板し、結果を積み重ねてきた。
試合時間の短縮を求めるため、現代の救援投手には擬投やワンポイントの禁止など制約が増え、「集中力を高める方法や、間の取り方など、自分のペースを作る“引き出し”が削られている」と小林氏は感じている。しかし、勝負の世界でそれは言い訳にできない。だからこそ、平常心を保つことが重要だ。
メジャー初登板がこのような厳しいシチュエーションに当たってしまった山口に対して、同情の余地はあるという。
「先頭を四球で歩かせたのはもったいなかったですが、初めてのメジャーのマウンドですから、仕方がないという部分もありますし、そういうように見た方もいると思います。ただ、見逃してくれるのは今回のみ。次からはそうはいきません」
この1試合で山口の評価が出るわけではない。メジャー初登板がタイブレークという唯一無二の経験を、今後どのように生かせるか、注目したい。(Full-Count編集部)