東京五輪まで1年/国立競技場、仮設オーバーレイ工事は中断/契約変更など影響も

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来年に延期された東京五輪・パラリンピックの開幕まで1年を切った。メインスタジアムの国立競技場(東京都新宿区、渋谷区)では23日、競泳の池江璃花子選手が世界に向けてメッセージを発信。映像で配信されたイベントは報道関係者などを除き無観客で行われた。当初計画では24日に五輪が開幕。熱狂の舞台となる国立競技場も万全の準備を整えているはずだったが、スタジアムはいまだ仮囲いに覆われたままだ。

世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るい、国内でも感染者数に歯止めが掛からない中、観客を入れた盛大なイベント開催は見送った形だ。聖火を手に一人でスタジアムの芝生に立った池江選手は「逆境からはい上がっていく時には、どうしても希望の力が必要だ」と訴えた。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会によると、国立競技場の仮設オーバーレイ(プレハブやテント、照明設備など)工事は大会延期が決まった今春以降「豪雨や台風対策に必要な措置を取った上で中断している」(広報担当者)。施設所有者の日本スポーツ振興センター(JSC)と調整し来年の開幕に目標を再設定。プランニングの見直しを進めているという。工事業者との契約変更も今後必要となる見通しだ。

組織委は今月、全競技会場の施設所有者から来年の利用について了解を得たと発表。ただ今後1年で各会場は五輪以外の利用も予定している。このため、いずれも国立競技場と同じように仮設オーバーレイ工事で再度の調整が必要となっている。大会運営の簡素化や新型コロナ対策の検討が今後進めば、工事内容に影響を及ぼす可能性もある。

6月時点で武藤敏郎事務総長は、仮設オーバーレイ工事について「仮設物の中には(来年まで)存置できるものもあるが、そのままにすると不都合や危険が生じるものは(一時的に)撤去しなければならない」と指摘。施設所有者と調整した上で「ある程度のところまで仮設工事を進めて存置をお願いし、本番に間に合うよう施工する」と話していた。

メッセージを発信する池江選手(Photo by Tokyo 2020/Shugo TAKEMI)
仮囲いに覆われた国立競技場