【全日本シニア合宿リポート②】友野一希選手、山本草太選手、須本光希選手のインタビューを全文掲載!

全日本シニア強化合宿が関空アイスアリーナで行われ、7月21日には報道陣に練習風景が公開されました。リポート第2弾では、友野一希選手、山本草太選手、須本光希選手のインタビューをたっぷりとお届けします。

※第1弾はこちらhttps://www.tvguide.or.jp/feature/feature-245722/)をチェック!

●友野一希選手

――合宿で主に取り組みたいことは何ですか?

友野 「山本草太選手と同じグループなので、お互いに刺激し合いながら、高め合っていければいいなと思います。技術的なところでは、オフシーズンにスケーティングやスピンに集中的に取り組んできたので、プログラムの中で練習してきたことをできるように、合宿ではたくさん練習していきたいです」

――新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、練習が満足にできなかった時期があったと思います。氷上練習を再開できたのはいつでしたか?

友野 「緊急事態宣言が解除された後、5月末頃から練習が可能になりました。1カ月半から2カ月くらい氷に乗れなかったので、(その期間は)陸トレ(陸上トレーニング)をしていました。でも、(スケートは)ずっとやってきたことなので、思っていたよりも感覚が戻るのも早く、今は問題なく練習に取り組めていますし、練習量も前と変わらないと思います」

――スケートへの思いに変化はありますか?

友野 「正直なところ、(日常から)スケートを取った生活をしたのは初めてで。今後のこともあまり分からなかったですし、その時の状況をしっかり受け止めて、『今は自分の体を大事にしよう』という気持ちが強かったです。陸トレについては、(これまで)あまりしていなかったんですけど、毎日することで自分の弱い部分が分かりました。そこを集中的にトレーニングすることができて、氷上に戻った時に効果を実感できました。意外とためになる期間でした。初めてフィギュアスケート抜きの自分と向き合えたので、今後のことも考えたり、いい機会になりました。正直、スケートのことは状況が状況で、先のことは分からなかったので、その日その日の練習に一生懸命でした」

――新プログラムについて教えてください。

友野 「今シーズンはショート、フリーともに継続です(ショート『Chroma -TheHardest Button to Button 』/フリー『映画「ムーラン・ルージュ」より』)。オンラインなどで振り付けを試みたんですけど、やっぱり実際に会ってやった方が僕的にはいいものができるなと感じたので。先生ともいろいろと相談して決めました。やっぱり(昨季)試合で自分が納得いくクオリティーのものができなかった。自分の実力不足というのが正直なところなんですが…。振り付けはミーシャ・ジーさんにお願いする予定でしたが、海外の方で日本に来てもらうことが難しいので、今シーズンは継続という形でさらに進化させたプログラムを披露できればと思います」

――新しく取り組んでいるジャンプはありますか?

友野 「昨シーズンの最後の四大陸選手権2020で4回転(ジャンプ)3本に臨んだんですけど、今シーズンはそれを固定で。(昨季は)主に4回転2本だったので、フリーで4回転3本を入れられるように。新たな、というよりも昨季より構成を上げてできるように今は練習しています」

――陸上トレーニングの効果を実感しているのは、どのあたりにですか?

友野 「細かい部分なんですけど、例えば片足でスクワットした時に筋力のバランスの違いっていうのがすごくあって。そういう弱いところを自分でトレーニングをしていく中で見つけて、そこを改善していきました。スケーティングでも右に乗る(右足で滑る)のと左に乗るのでは、筋力の差があって左の方が乗れなかったり…ということがあって、なるべく体の左右のバランスをよくしようとトレーニングに取り組みました。以前よりも、弱かった部分の筋肉の反応や感覚がよくなりました。自分の体とそれだけ向き合える時間というのは今までなかったので、弱い部分を見つけることができました。(自粛期間の)2カ月は、そういったところを強化するには十分な期間だったのでよかったと思っています」

――例年と比べて仕上がりはいかがですか?

友野 「オフシーズンは、主にスケーティングとスピンに取り組みました。昨シーズンの自分の課題というのは、プログラムの中で“一つのまとまり”が、どうしても途切れ途切れになってしまっていた部分。トップの選手との差は演技の完成度だと自分の中では感じていて、徹底的に練習しました。また、スケーティング、スピンが少しでもよくなるように今は練習しています」

――今季は北京冬季オリンピックのプレシーズンになります。意気込みをお願いします。

友野 「まだまだ分からないことだらけですが試合が行われるのであれば、今まではメダルに届かないことが多かったので、少しでもメダルに近づけるように。メダルを獲得できる選手になるのが目標です。全ての試合で表彰台に乗れるように、1試合1試合、強い気持ちを持って頑張りたいと思います」

●山本草太選手

――合宿で取り組みたいことは何ですか?

山本 「環境も少しずつ変わってきて、やることだったり、取り組まなきゃいけないことも少しずつ変わってきたと思いますが、普段と変わらずスケーティング、スピン、ステップ、ジャンプ、全てのエレメンツの質をよくする。そして、プログラムも二つとも今シーズン変えることになったので、こちらをより磨くという形でやっていければと思います」

――氷上で練習できない期間はどれくらいありましたか?

山本 「5月の下旬頃から(練習を)再開できました。自粛期間の1カ月くらいは全く滑らなかったんですけど、久しぶりに滑っても感覚的なものは大丈夫でした。スタミナがすごく減っていましたがだいぶ戻ってきたので、後はプログラムの中で質のいいものをやっていけたらなと思っています」

――自粛期間中はどのようなトレーニングをしていましたか?

山本 「自粛期間中は、ISU(国際スケート連盟)や日本スケート連盟の方々からのZoomやYouTubeのトレーニングに取り組んでいました。(Zoomのトレーニングは)みんなでやっている感覚でできたので楽しかったし、ためになったと思います。もっと長期間休まなきゃいけない時もあったので、自分の中ではあまり不安はなく前向きに過ごせました」

――新プログラムについて教えてください。

山本 「ショートは『黒い瞳』、フリーは『ドラゴン』(映画『ドラゴン/ブルース・リー物語』)という曲で、両方、宮本賢二先生の振り付けです」

――ショートとフリー、それぞれのテーマを教えてください。

山本 「ショートは“華やかなプログラム”というのが一つのテーマです。それに、振り付けも編集も合わせて作っていただきました。本当にきらびやかな、華やかなイメージで滑りたいと思っています。フリーは僕がノービスAの1、2年目に使っていた曲で、8年越しに滑ることになりますが、振り付けも編集も変わっているので、また違う『ドラゴン』を表現したいなと思っています」

――何か新しいジャンプに取り組んでいますか?

山本 「2月に4回転ループに取り組んだんですけどなかなか回らなくて、『向いていない』ということになって(苦笑)。次は(4回転)フリップや(4回転)ルッツに取り組もうかなというところで、軌道を変えた3回転などで4回転をイメージする練習はしているんですけど、まだこれからです」

――今季は北京冬季オリンピックのプレシーズンということで、意気込みをお願いします。

山本 「試合数も減っていく中、やはり出られる試合も限られてくるので。次がどの試合になるかも分からない状況ではあるんですけれども、一つ一つ大切にして、楽しみながら全力で頑張っていきたいと思っています」

――現在の練習環境について教えてください。

山本 「今は関西に戻ってきました。ちょうど僕が移って数カ月後にNTC(ナショナルトレーニングセンター)が関空(関空アイスアリーナ)に変わったということで、環境も更によくなりました。関空と後は西宮(ひょうご西宮アイスアリーナ)、臨海(臨海スポーツセンター)でも練習しています。全日本(全日本選手権2019)が終わってから『何か大きく変えなきゃいけないな』というのをすごく感じて。今までは『結局、自分自身』という気持ちでやってきた部分もあるんですけど、少しは先生に頼ろうという気持ちも芽生えて、それで関西の方に戻ってきました」

――環境を変えてみて手応えはいかがですか?

山本 「気持ちの変化も大きくて。こういう前向きな気持ちで試合に臨みたいなと思っています」

――大学の方はどうされているのでしょうか?

山本 「休学しています。皆さんはリモートの授業をやっていると思いますけれど…。最悪、(スケート人生が)終わってからでも大学には通えると思うので。とりあえずスケートを追求していきたいという思いで休学に至りました」

●須本光希選手

――現在の練習環境について教えてください。

須本 「2月から先生を変えまして、前の先生と今の先生とで教え方も少し違うので…。今の先生(本田武史コーチ)に言われたことをまだ完璧にはできないので完璧に、言われたことを意識せずにできるように、今、ジャンプに取り組んでいます」

――新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、氷上練習ができなかった時期があったと思います。練習を再開できたのはいつ頃からでしょうか?

須本 「滑れなかったのは1カ月半くらいだと思うんですけど、6月の頭、緊急事態宣言が解除されて、その1週間後くらいから滑ることができした」

――コンディションはいかがですか?

須本 「完璧ではないですけど、少しずつ体力も筋力も戻ってきていると思うので、ここからシーズンに向けて頑張りたいです」

――自粛期間中はどのようなトレーニングをしていましたか?

須本 「陸上トレーニングです。具体的には“坂道ダッシュ”だったり、今までやってこなかった体幹トレーニングなどを毎日やっていました。自粛期間中は、スケートのことを考えてしまうと不安になってしまうので、スケートのことをできるだけ考えないようにしていました。今はすごく楽しく練習できています」

――新プログラムについて教えてください。

須本 「ショート・フリーともに阿部奈々美先生の振り付けで、ショートは『The Feeling Begins』、フリーは映画『ミッション』です」

――新プログラムで表現したいものは何ですか?

須本 「ショートは持ち越しなので、昨年よりもさらにいい演技をして。昨年できなかったちょっと独特な動きも加わったので、そこをしっかり表現できればいいなと思っています。フリーは、オンライン(無観客)だとしても、お客さんの心に残る演技をお見せできればいいなと思っています」

――新しく取り組んでいることはありますか?

須本 「新しくはないですけど、4回転(ジャンプ)と(トリプル)アクセルを安定させていかなければいけないというのは分かっています。まずは、4回転をプログラムに入れられるように練習しています」

――今季は、北京冬季オリンピックのプレシーズンです。意気込みを教えてください。

須本 「今のままだと、(北京冬季)オリンピックは目標にもできない状況です。今年1年、オリンピックシーズンまで、しっかり結果を意識して練習に取り組んでいきたいと思っています」

――新しい練習環境はいかがですか?

須本 「関西大学のリンクで滑れることもあり、今までになかった刺激を与えてくれる方がたくさんいらっしゃいます。練習時間はちょっと減ったかなと思うんですが、内容が濃くなって、いい練習ができていると思います」

――本田コーチからはどんなアドバイスを受けていますか?

須本 「(ジャンプ時に体を)締める時の手の動き、回転の速さが、先生から見ると『今のままでは4回転が安定しない』と言われています。安定するように、まずはトリプル(3回転)、それから4回転というふうに練習していこうと話しています」

――例年と比べて仕上がりはいかがですか?

須本 「滑れなかった時期に、しんどさ、不安を味わったので、ちょっと詰めて練習できるようになりました。自粛期間で成長したかなと思います」

困難な状況の中でもそれぞれの目標を見据え、日々努力を続けている選手たちを新シーズンも全力で応援しましょう!

また、7月29日発売の「KISS & CRY 2019‐2020シーズン総括・不屈の魂号(表紙・巻頭特集/宇野昌磨選手)」には、友野選手の独占インタビューが掲載されます。全日本選手権2019での涙の理由、自粛期間中のこと、そして新シーズンへ向けての決意をたっぷり語っていただきました。こちらもぜひチェックしてみてください!

写真/代表カメラ・撮影

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