柳田悠岐に期待したい王貞治氏以来の記録 驚異の出塁率を生む意識「四球はヒット」

通算1000安打を達成したソフトバンク・柳田悠岐【写真:藤浦一都】

強打者でも繋ぎの精神「昔の方がもっと打ちたい打ちたいと」

■ソフトバンク 9-4 西武(28日・PayPayドーム)

ソフトバンクの柳田悠岐外野手のバットが勢いを増している。28日PayPayドームで行われた西武戦。3回の第2打席で史上306人目となる通算1000安打を達成すると、この日は5打席に立って3安打4出塁。今季の出塁率を.507に上げ、驚異の出塁率5割超えとした。

3回1死一塁で西武先発の今井から通算1000安打となる右翼フェンス直撃の安打を放つと、5回の第3打席は左翼線への二塁打で4点目をお膳立て。6回には3得点に繋がる四球をきっちり選び、8回には遊撃内野安打。4打数3安打1四球とし、今季は148打席目で44安打、31四死球、2つの犠飛。出塁率は驚異の.507となった。

通算1000安打の節目の1本を、試合後に「よくこんなに打ててるな、と思います。嬉しかったですけど、1本目、プロ初ヒットの方が嬉しかったですね」と振り返った柳田。出塁率5割超えに関しても「これからシーズン長いんで一戦一戦怪我なくやっていくことしか考えてない。数字云々は考えていないですね」と淡々としたものだった。

12球団でも屈指の強打者といえる柳田。他球団からのマークは特に厳しく、えぐるように内角を攻められることも日常茶飯事だ。その中でも高い出塁率を残せるのは、卓越した技術はもちろんのこと、際どいところを見極めて四球を選べるところにある。

シーズン出塁率5割超えは1973、1974年の王貞治会長のみ

若い時は打ちたい気持ちが先に出ていたところがあるというが、実績と経験を積み、31歳という円熟期を迎えて、意識にも変化が生まれた。「四球はヒットと一緒という気持ちでやっています。昔の方がもっと打ちたい打ちたいと思っていましたけど、今は冷静にスイングできているかなと思います」。四球とヒットは同じ。その考えが、この高い出塁率を生み出している。

出塁率がセ・パ両リーグで表彰の対象となった1985年以降での歴代最高出塁率は1986年に落合博満氏が残した.487。シーズンを通して5割を超えたのは、1985年よりも前、1973年に.500、1974年に.532をマークした王貞治球団会長だけしかいない。

120試合で行われる2020年シーズン。34試合を消化したとはいえ、まだ86試合が残っている。このまま5割を維持するのは、そう簡単ではない。それでも、ファンは期待したくなる。王貞治会長以来となる、史上2人目の出塁率5割超えを。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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