6月の百貨店、2割の大幅売上減少続く。全館営業再開で徐々に客足は回復

 5月下旬に緊急事態宣言が解除され百貨店も同月末から順次営業を再開させていった。こうして6月には百貨店は通常営業に戻ったわけだが、人々の自粛ムードは十分に払拭されておらず、自粛中に深刻となった経済打撃の影響もあり節約志向も続いたままで、百貨店で取り扱う高級品の売れ行きも芳しくなかったようだ。また、近年の百貨店はインバウンド需要にも頼っていたため未だその需要は回帰せず百貨店売り上げは十分に回復したとは言えない。

 日本百貨店協会が緊急事態宣言解除後の6月の全国百貨店売上高概況を発表しているが、これによれば6月の全国百貨店の売上総額は3829億円で、前年同月と比べると19.1%のマイナスと大幅な減少となり、9カ月連続のマイナスとなった。

 百貨店販売はリーマンショック時に大きく落ち込み、近年は縮小基調が続いてきた。これをインバウンド需要で補うかたちで推移してきたが、昨年10月の消費税増税以降、天候不良もあり厳しい状況が続いてきた中でのコロナショックで、その痛手は大きい。今年1-3月の移動平均は16.8%減であったものが3-5月には56.1%減少まで大幅に落ち込んでいた。

 地区別では、10都市の大都市では22.0%と2割を超える大幅減少であったのに対して、10都市以外の地方では11.3%減と引き続き地方より大都市店舗の苦戦が目立っている。

 顧客別では、99.3%のシェアを持つ国内客は14.6%の減少と前月より48.6ポイント改善し客足の戻りが感じられるものの、インバウンドは入国制限の継続で90.5%減と厳しい状況が続いている。

 商品別に見ると、衣料品が18.7%減と特に子供服・用品で7.4%減と改善が見られるが、やはりインバウンド需要の大きい化粧品で32.5%減と大きな減少となっているほか、家電もウエイトは大きくはないものの31.3%と大きく落ち込んでいる。また、食堂・喫茶では45.5%の減少と前年の半分近い状態で回復の兆しが見られない。

 中元については店頭では減少であったもののECへのシフトで大幅な伸びがあり全体として堅調に推移しているようだ。クリアランスセールについては開始時期の前倒しや分散開催・長期化、ECの拡大展開など一連のコロナ対策が顧客に受け入れられ衣料品を含むファッション商材を中心に動きが見られた。

 新型コロナ感染の拡大が再び生じている中、7月以降の夏の商戦が注目される。(編集担当:久保田雄城)

日本百貨店協会が6月の全国百貨店売上高概況を発表。売上高総額は3829億円で、前年同月比19%の大幅マイナス

© 株式会社エコノミックニュース