「ボーナス減で臨時出費が払えない」ウィズコロナを生き抜くボーナス頼り家計脱却の鍵

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、25歳、会社員の女性。新型コロナウイルスの影響でボーナスが減ってしまい、車検料などが払えなくなってしまうとお困りだそうです。FPの高山一惠氏がお答えします。

コロナ不況でボーナスが4分の1になりそうです。今まで車の任意保険や車検代をボーナスに頼っていたため、どうすればいいのか分かりません。貯金から払えはするのですが、今まで貯金に頼っていなかった分、貯金を崩すことに罪悪感があります。月々予備費を用意しているのでそこから積み立ててればいい話かもしれませんが、趣味のグッズを購入したり時々旅行に行ったりという時使いたいのであまり積立にはしたくありません。

【相談者プロフィール】

女性、25歳、未婚

職業:会社員

住居の形態:賃貸(一人暮らし)

毎月の世帯の手取り金額:12万円

年間の世帯の手取りボーナス額:60万円

毎月の世帯の支出の目安:5万円

【毎月の支出の内訳】

住居費:0(社宅で給与天引き)

食費:1.5万円

水道光熱費:1万円

通信費:0.8万円

車両費:0.3万円

お小遣い:0.5万円

その他:0.9万円(日用品、NHK受信料積立等含む)

【資産状況】

毎月の貯蓄額:4万円(財形貯蓄1万円)

ボーナスからの年間貯蓄額:14万円

現在の貯蓄総額:100万円

現在の投資総額:1.5万円

現在の負債総額:0


高山: ご質問ありがとうございます。コロナで収入が減少したり、ボーナスが大幅に減らされたりするケースは少なくないようです。コロナの感染拡大は続いており、長期化することが予想されます。そこで、今後は、ボーナスをあてにした家計管理から脱却することが大切です。毎月の収入で家計をやりくりするポイントについてお伝えします。

ボーナスありきの家計を見直す

毎月の収入だけでは、家計のやりくりができず、ボーナスをあてにして生活しているという人も多いことでしょう。しかし、今回のコロナの影響で多くの企業の業績は悪化。ボーナスが大幅に減少してしまったという人も少なくないのではないでしょうか。

相談者さんの場合、貯蓄が100万円あるので、今回は、ボーナスから支払う予定だった車の任意保険代や車検代については、貯蓄から取り崩す、もしくは定額給付金の10万円を有効に使うなどして対応できることと思います。貯金を取り崩すことに罪悪感があるとのことですが、貯金は、今回のようなピンチの時にこそ役立つもの。ですから、生活を助けるために必要な取り崩しと、前向きに捉えましょう。とはいえ、コロナの影響が今後1年、2年続くとなると、業績悪化でボーナスが減り続ける可能性も。そうなると、貯蓄を取り崩し続け、大きく目減りしてしまう可能性もあります。

そこで、今回を機に、ボーナスに頼る家計からの脱却を図りましょう。ご相談者さんの家計を拝見すると、食費や通信費、水道光熱費など、どの項目も無駄遣いがなく、堅実に暮らしていらっしゃると思います。また、貯蓄も毎月4万円できていますし、プラスで予備費も捻出できているとのこと。ですから、家計を見直す上でのポイントは、ボーナスで支払っていた支出を毎月の収入で賄う体制を作ることです。

車の任意保険や車検代は、毎月予算化を

車の任意保険や車検代など、ボーナスで支払っていた支出を毎月の収入で賄う体制を作るには、毎月予算化していくのがオススメです。

一般的に、ボーナスで支払っている費用としては、冠婚葬祭費用、帰省費用、家賃の更新料、家電の買い替え費用、などの「臨時支出」が挙げられます。ご相談者さんもこうした臨時支出があれば、予算化しておきたいところですが、あれもこれも予算化すると、家計が厳しくなってしまいます。ですから、優先順位をつけ、特に今後1年以内に支払う必要がある臨時支出を優先させましょう。

今後、ご相談者さんの優先順位が高い臨時支出としては、車の任意保険や車検代です。家計データを拝見すると、毎月4万円の貯蓄に加えて、2万円程度予備費が捻出できているようです。予備費は、趣味代や旅行代に使いたいとのことですが、今後の状況を考えると、車の任意保険や車検代もきちんと予算化したいところ。車の任意保険や車検代の予算を考えるにあたり、一度いくらかかるのかを見える化し、その金額を12で割ってみましょう。そうすると、1カ月どれくらいの金額を予算としてとれば良いのかを把握できます。

その上で、毎月の貯蓄額、予備費から、当面の貯蓄、趣味代や旅行代、車の任意保険や車検代の予算をそれぞれ配分しておくと良いと思います。

ボーナスの使い道は、ボーナスが支給された後に考える

今後は、ボーナスに頼らない家計にすることが大切というお話をさせていただきましたが、ご相談者さんの場合は、全てのボーナスがなくなるわけではなく、4分の1程度になるとはいえ、ボーナスは支給されるとのこと。

今後は、ボーナスありきで、支出の計画を立てるのではなく、ボーナスが確実に支給された後に、ボーナスの使い道を考えるようにしましょう。ボーナスをあてにせずに家計のやりくりをした上でボーナスが支給されれば、その分、ゆとりが生まれます。

ご相談者さんは、趣味や旅行も楽しみたいとのご希望があるので、ボーナスが確実に支給されたら、楽しみのためのお金を増やすなどして調整すると、心の満足度も満たされるかもしれません。

現在、世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るっており、収束のメドもなかなかついていません。ウィズコロナの時代に備えて、これまでのやり方にメスをいれ、コロナ危機に備えていきましょう。

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