山形豪雨 不安募らす避難者

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避難所で町職員(手前左)から朝食のおにぎりを受け取る避難者=29日午前7時ごろ、山形県大江町の大江町民ふれあい会館
新型コロナ対策のため避難所の入り口で体温を測る住民ら=28日午後11時ごろ、山形県酒田市亀ケ崎小

 山形県内では28日の記録的豪雨に伴い自治体の避難指示や避難勧告などが相次ぎ、各地の避難所に身を寄せた住民は不安の中で一夜を過ごした。新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、避難所では検温や手指消毒など感染防止策が取られ、細心の注意が払われた。

 最上川河口がある酒田市の避難所の一つ、亀ケ崎小では28日夜、高齢者を中心に住民約50人が配られた保温シートにくるまり、横たわって夜を明かした。

 今週末に同校を会場に新型コロナ対応の避難所運営訓練が予定されていた。訓練直前の災害に、避難所運営委員長の小野英男さん(70)は「感染が心配で自宅にとどまった高齢者が少なくない。完璧な運営は難しいが、災害が増える中、素早く安心して逃げられる場所でありたい」と語った。

 最上川流域の大江町の避難所のうち、大江町民ふれあい会館には住民約80人が泊まった。町は感染対策の検温や手指消毒のほか、健康状態や介護の有無を調べる問診票の記入を要請。会議室やホールも開放して家族単位で避難者間の距離を取り、多くの高齢者の健康に配慮した。

 一夜明けた29日、「みんな目を閉じても不安で眠れなかったと思う」と語ったのは、最上川と月布川の合流地点近くに住む同町の自営業藤野和男さん(65)。羽越水害(1967年)の経験から、昨年建て直した自宅は土地をかさ上げした。「過去の教訓から自然を正しく恐れることが必要だと思う」と話した。

 住宅の浸水被害が多数確認された南陽市。同市赤湯の男性(81)は28日夕、赤湯公民館へ妻(86)と共に避難した。29日朝に戻った自宅は床上浸水していた。

 昨年10月の台風19号豪雨でも床下浸水被害に遭った。男性は「水が引くまで数日はかかるだろう。生活の立て直しや復旧作業はそれからだ。今年秋の台風も心配」と不安を吐露した。

 山形市は29日までに避難所50カ所を開設。1万2154世帯3万5652人が避難指示や勧告の対象となった。最大で840人(28日午後6時)が避難所に滞在し、224人が一晩を過ごしたとみられる。