賭け麻雀で信頼揺らぐ…日本のジャーナリズムは何をすべきか

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。7月14日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、スローニュース代表取締役の瀬尾傑さんが“ジャーナリズムの信頼回復”について述べました。

◆揺らぐ、国民のジャーナリズムに対する信頼

新聞記者と検察幹部の賭け麻雀問題を受け、メディア取材のあり方などについて見直しを求める「ジャーナリズム信頼回復のための提言チーム」が取材者・研究者の立場から提言を取りまとめ、日本新聞協会に加盟する新聞・通信・放送の129社に送付。閉塞的な日本のメディアの状況に危惧感を抱くなか、報道機関の具体的な取り組みに繋がるよう賛同者を集めています。

MCの堀潤も賛同したこの提言について、瀬尾さんは「大事な提言だと思う」と言います。というのも、現職の記者が名前を連ね、外からだけでなく、中から改革しようとしているから。

そのきっかけとなったのは前述の賭け麻雀問題で、「癒着じゃないのかという国民の不信があり、国民のジャーナリズムに対する信頼が極めて揺らいでいる」と瀬尾さん。ただ、新聞記者側からすると「取材上、必要で仕方ない」という意見もあるようですが、「世の中の人たちがメディアをどう見ているのか見てほしい」と、ロイターのメディア研究所によるジャーナリズムが権力と戦っているのかを世界各国で調査したデータを紹介。

それによると、日本はジャーナリストと読者の考えが特に大きくズレており、「このギャップが信頼を損なっている。これをどう埋めるかが極めて大事」と提起します。

◆ジャーナリズムが信頼を回復するために

今回の提言のなかには、「権力との癒着」や「記者会見の形骸化」、「組織の多様性の欠如」、「市民への説明不足」、「問題点の掘り起こしができていない」など、ジャーナリズムの課題・問題点が列記され、これには瀬尾さんも激しく大いに同意。

また、その対策として「検証可能な報道」や「報道倫理のガイドライン作り」、「政治家に張りつくような取材配置の見直し」、「政治家は匿名なのに事件被害者は匿名ではなかったりする匿名性のバランス感」、「企業カルチャーの単一化」、「読者と識者の意見交換」などが挙げられるなか、瀬尾さんが重要視していたのは「市民に対する説明や価値観を共有すること」。さらに「ジャーナリストは特別だと思っている。それもわかるが、今は取材手法も含めてオープンにし、人材の交流もしないといけない。オープンなカルチャーにし、ジャーナリズムは信頼を取り戻すことが大事」と言います。

ただ、既存の取材が全てダメなわけではなく、政府内の人物からアドバイスをもらったり、方向性を示してもらったりして記者が政府の不正を暴いた「ウォーターゲート事件」を引き合いに、「そういうことがなければ報道の深さを進めることができないという事実もある」と瀬尾さん。「市民に説明し、交流し、自分たちのカルチャーをオープンにし、理解を得て、市民と一緒にジャーナリズムを作っていくことが大事」と強調していました。

瀬尾さんの話に大きく頷く堀は、「仕組みもさることながら、その人の資質。どんな使命を背負い、誰のために取材しているのか見失ってはいけない」と意見を述べると、瀬尾さんはそこに「同時に独りよがりにならないこと」と追加。そして、「ジャーナリストだから使命があるのではなく、その使命は本当に正しいのか。どんな職業でも使命はある。ジャーナリストは特別な職業ではない」と改めて話していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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