鷹・周東が2度の「1番」で得た“気づき” 強い打球のために捨てた意識とは

2回に犠飛を放ったソフトバンク・周東佑京【写真:藤浦一都】

1番打者として塁に出る意識を捨て、この日はあえて振る意識で打席に臨んだ

■ソフトバンク 4-2 西武(29日・PayPayドーム)

ソフトバンクの周東佑京内野手が29日、本拠地PayPayドームで行われた西武戦に「1番・二塁」で先発出場。初回から三塁打を放って先制のホームイン、2回には貴重な追加点となるライトへの犠飛を放つなど、チームの勝利に貢献した。

26日の日本ハム戦では今宮健太との1、2番コンビで活躍した周東。カードが変わった28日からは今宮と打順が入れ替わる形で1番に座っている。西武との初戦となった28日は4打数無安打2三振1四球。1番打者としての期待に応えられなかったが、その反省が29日の1打席目に生かされた。ファールでフルカウントまで粘り、145キロのストレートを強く振り抜くと、打球はセンターへ一直線。自慢の俊足を飛ばして一気に三塁まで進んだ。

「(1番に座った)昨日から塁に出ようというのが強すぎて振りに行けてなかったんで、今日はボールを選びながらも積極的に行こうと思っていました」と周東。1番打者として出塁を意識するのは当然だが、あえてその意識を捨てて練習から取り組んでいる自分のバッティングをすることで結果に繋げてみせた。

2点リードで迎えた3回裏の第2打席は、1死三塁の場面で143キロのストレートをライトへの犠飛とし、貴重な追加点。「(外野手が)だいぶ前に来ていたので、浮いてきた球をしっかり強く打とうと思いました。ヒットなら最高ですけど、最低限フライが上がればと思って」と話した。

鷹の新たなスピードスターとして脚光を浴びた昨季は、プレミア12で侍ジャパンの一員にも選出された。今シーズンはレギュラー獲りを目標に掲げ、そのための一番の課題として打撃面の成長を挙げていた。懸命にバットを振り続けることで「だんだん力もついてきていると実感もしています。去年は速い真っすぐで打ち取られることが多かったんで、そこは少しは成長しているのかなと思います」と、いずれもストレートを弾き返した2つの打席に胸を張った。

初回に三塁打を放ったソフトバンク・周東佑京【写真:藤浦一都】

28日に入籍を発表、自慢のスピードとパワーを両立させる内助の功に期待

28日に広島出身の30歳の一般女性と入籍したことを発表したばかり。春季キャンプ明けからすでに一緒に住んでいたことを明かし、「(発表したことで)心境の変化はないですよ。ただ、自分だけじゃないので家族のためにと思ってやっています」と少し照れながら話した周東。

「帰ってご飯があるってすごいなと思います。(自分で)考えなくていいし、すごく疲れて帰ってきてもやってくれます。体重を減らさないようにと考えながらやってくれています。本当にありがたいなと思っています。え? 好きな料理ですか。ピーマンの肉詰めですね」と、食事面でのサポートにも感謝する。

プロ野球選手としてはかなり線が細いタイプだが、自慢のスピードと強い打球を打つパワーを両立させるためにも、今後も愛妻の支えが大きな力となるはずだ。1番打者であっても、練習で積み重ねた自らの打撃を出すことが大事。周東がわずか2試合で得た“気づき”は、今後の活躍に大きな影響を及ぼすことになりそうだ。(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

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