高台の県農道「崩落の懸念」現実に 熊本豪雨の土砂で住宅倒壊 芦北町

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豪雨で集落裏手の農道が崩落し、住宅1軒に土砂がなだれ込んだ芦北町鶴木山の小浦集落。住宅は大きく傾き、隣家も損壊した=芦北町、22日

 熊本県南部を中心とした豪雨で、芦北町鶴木山の小浦集落では裏手にある高台を通る県広域農道の一部が崩れ、住宅1軒に土砂が流れ込み倒壊する被害が出た。県が農道を整備する際、住民は大雨時の安全面の不安を訴えていたが、心配が現実化した。

 農道は芦北町田浦と津奈木町役場をつなぐ全長約22・5キロで、通称「七浦[ななうら]オレンジロード」。県が施工し2012年に完成し、町が管理している。

 4日午後0時半ごろ農道が長さ約20メートル、幅約3メートル、高さ約35メートルにわたって崩れた。土砂は約100メートルほど離れた中村克己さん(77)方に流れ込み、2階建ての住宅は大きく傾いた。1階の天井まで泥で埋まったという。隣家も損壊した。

 土砂が崩れる音を聞き、住民は避難して無事だった。二次災害を恐れ、全8世帯が避難生活を続けている。

 県芦北地域振興局によると一帯では08~11年、尾根や谷がある山林の斜面に盛り土する形で農道を建設した。中村さんら住民は「盛り土は、大雨時に崩落の危険性がある」と指摘。県と数回話し合ったが、県は「安全性に問題はない」と説明したという。

 被害発生を受け、県は「適切な工法で施工している。道路の側溝のほか、盛り土に雨水や山側から流れ込む水がしみこんで崩れないように、盛り土と地盤の境に穴が開いた管を通して排水している」と説明。崩落した要因として「雨量が甚大だった」と言う。管理者の町が復旧作業の準備を進めている。

 これに対し、中村さんは「不安でこれまでも雨が降るたびに避難していた」と主張。「現状と同じ工法で復旧するのなら、また崩れる」と懸念する。近くの宮本幸治さん(57)も「このままでは、恐ろしくて自宅には帰れない」と話した。(山本文子)