国内化粧品の販売チャネル。ドラッグストア等実店舗は不調。ECにシフト傾向進む

 新型コロナウイルス感染症の流行は社会生活のあり方を大きく変えようとしている。4月には緊急事態宣言が発令され外出自粛や休業要請など大きく生活行動が制約された。宣言解除後も新しい生活様式などウイズコロナの中でコロナを警戒した新しい社会生活となっている。当然、経済においては販売形態や流通構造など大きな変化が生じるであろう。

 20日に総合マーケティング業の富士経済が化粧品の販売チャネルの調査をとりまとめた「化粧品業態別販売動向とインバウンド実態調査 2020」を発表しているが、化粧品においても新型コロナの影響で販売形態、流通チャネルに大きな変化が起こっているようだ。

 この調査では、ドラッグストアや百貨店、ドラッグストアや百貨店などに加え、直営店など多様化が進む国内化粧品の販売チャネルを調査し、店舗販売13チャネル、無店舗販売3チャネルの計16チャネルの市場動向を調査・分析するとともに各販売チャネルのインバウンド動向も捉えている。

 店舗販売は市場規模が大きく全体の8割を占める。14年に化粧品が消費税免税対象となったため百貨店やドラッグストア、空港型免税店など訪日外国人観光客を対象に実店舗市場は好調に拡大していった。無店舗販売も公式通信販売や通信販売卸の好調により順調に拡大してきた。

 しかし、新型コロナの影響により今後は店舗販売、無店舗販売ともに縮小が予想される。19年の化粧品市場はドラッグストアのシェアが大きく、またインバウンド需要により百貨店が伸長してきた。20年は新型コロナの影響により百貨店やショッピングモールなど大型商業施設の休業もあり、また対面販売を行う訪問販売などでは営業の自粛が行われたことから、これらのチャネルの構成比は低下すると見込まれる。

 インバウンド需要で伸長してきたドラッグストアの20年の市場規模は1兆5776億円と見込まれ、前年比96.3%に縮小する予測だ。同じくインバウンド需要で好調だった百貨店も4400億円で77.8%と大幅な落ち込みと見込まれる。

 多くのチャネルが縮小の中、公式通信販売は店舗販売品を展開する制度品系や外資系メーカーがECサイトでの販売に注力しシェアを上げている。新型コロナの影響により店舗販売での需要を通信販売へシフトすることにより伸長するメーカーもみられ前年比1.0%増とわずかではあるが増加が見込まれる。新型コロナは化粧品のチャネル構造に大きな影響を与えているようだ。(編集担当:久保田雄城)

富士経済が「化粧品業態別販売動向とインバウンド実態調査 2020」

© 株式会社エコノミックニュース