一条恵観山荘|京都から移築された、四季の草花を楽しむ贅沢な庭園

江戸時代に後陽成天皇の第九皇子「一条恵観」によって開かれた、一条恵観山荘(いちじょうえかんさんそう)。

実際に訪れてみると鎌倉には珍しい京風の庭園や四季折々の自然、一条恵観のおもてなしの心が詰まったとても素敵でした。

庭園を散策したり、腰かけて眺めたり、建物見学をしたり、カフェで和菓子を楽しんでいるとあっという間に時間がたってしまいます。

私は初めて訪れたのですが、すっかり時間を忘れて楽しんでしまいました。一度訪れるとファンになる、一条恵観山荘の魅力を紹介していきます!

一条恵観山荘の歴史

一条恵観山荘は、後陽成天皇の第九皇子であり一条家の養子でもある「一条恵観(いちじょうえかん)により建てられた皇族の「茶屋」が移築されたものです。

京都には「桂離宮」「修学院離宮」など有名な施設がありますが、桂離宮は恵観の叔父の八条宮智仁親王、修学院離宮は恵観の兄の後水尾天皇が建てたもの。

一条家を紐解いていくと、江戸時代初期の雅な暮らしぶりがわかります。

一般公開は2017年から

一条恵観山荘は京都で取り壊される予定でしたが、近代の数寄者や建築士の尽力により、縁あって昭和34年鎌倉に移築されました。

建物だけでなく庭石や枯山水も当時と同じように配置されたため、当時の雰囲気がそのまま残されています。昭和39年に国指定重要文化財になりました。

以前は会員制の茶室として使われていましたが2017年から一般公開されるようになり、建物と庭園の公開後に休憩所としてかふぇ楊梅亭(ももやまてい)ができました。

国指定重要文化財を守りつつ、鎌倉にいながら京都の雅な寛永文化を体験できる施設です。

一条恵観山荘の見どころ

魅力①四季折々の自然が楽しめる

一条恵観山荘の800坪の庭園では、四季折々の自然を楽しむことができます。春は梅や桜やボタンなど、夏はあじさいや桔梗やハギ、秋は紅葉やホトトギスやリンドウ、クリスマスローズなど。

1番見応えがあるのは、紅葉の時期の楓。園内の楓が一斉に赤く染まりとても綺麗です。

庭園の横を流れる滑川。とっても涼しげです。

庭園にはいくつか「野点傘」(のだてがさ)があり、椅子に腰掛けながらのんびりと過ごすことができます。自然に囲まれながら過ごす時間は格別です。

インスタ映えするスポットも♫

庭園には写真を撮影していて、絵になる場所が沢山あります。この写真はさえずりの滝の前で、許可を得て撮影させて頂きました。着物で訪れるのもおすすめです。

あじさいの時期の一条恵観山荘

6月の半ば、滑川沿いの散策路にはあじさいが綺麗に咲きます。日本古来のヤマアジサイも西洋あじさいも咲いています。

魅力②京風の庭園

鎌倉の武家風のダイナミックな庭園とは違い、京風の庭園は全て作りが華奢で上品。枯山水や、庭園にある楓や赤松も小ぶりで上品な作りになっています。

そして関東風の黒松ではなく、関西では赤松が使われているのが特徴。建物の柱にもなっている赤松が庭園にも鎮座しています。枯山水や手水が沢山あるのも京都らしく、どこから見ても美しい作りになっています。

魅了③京都から移築された建物

一条恵観山荘の特徴、田舎風な茅葺屋根です。とても立派で覚園寺の有料エリアにもこのような茅葺屋根が残っていますが、維持が大変なのでとても貴重な建物です。

約20年に一度茅野吹き替えするそうですが、鎌倉には職人さんがいないですし材料もないので、奈良の職人さんを呼んで材料も奈良や御殿場のものを使って行なっているそうです。

入り口付近にある、人形回しの絵。当時は一人一体の人形を動かしていたことを記す貴重な絵。昔は烏帽子を被っていたので、頭をぶつけないように建物全体の天井が高く造られています。

室内には料理ができる炉があり、こちらは二重扉になっていて食事が冷めない工夫がされています。そして屋根を燻し虫を寄せ付けなくする効果もあります。

位が高い人が使用する座敷は、ふすまの取っ手が「月」の形をしていたり、畳のヘリがシルクになっています。

部屋によってお部屋の雰囲気が異なります。これは恵観の客人を飽きさせない為のもてなしの心だそうです。

建物は竹の化粧屋根や、柱が様々な木で作れています。これは雑木林をイメージしていて、林の中をお散歩している気分になれるという恵観のこだわり。

奥に行くほど位が高い人が滞在する場所になります。奥の掛け軸の言葉は、「煩悩の執着心を断ち切ることで無敵になれる」という意味が込められています。

こちらが一条恵観山荘内から望む、庭園。何時間でもいられそうです。

案内人の建物見学が面白い

1日4回、狂言師の方が解説付きで案内してくれます。この狂言師の案内人のガイドが面白い。冗談を交えながら説明してくれるので、ついつい聞き入ってしまいます。

難しい話ではないので、普段ガイドをつけない人にもおすすめです。所要時間は50分程度で、1回の定員は15名まで。先着順で事前予約が必要です。

そしてそして、一条恵観山荘に行ったら絶対訪れて欲しいのがかふぇ楊梅亭です。

かふぇ楊梅亭|庭園を望む癒し空間

庭園にある、かふぇ楊梅亭(やまももてい)。この絶景の中、抹茶や和菓子が楽しめます。

見てください。手が届きそうなくらい楓がすぐそばに。全部の席から外が眺めながら座れるように配置されています。かふぇ楊梅亭では、和菓子やドリンクが頂けます。こちらは抹茶と季節の主菓子(1100円)。西鎌倉の「和菓子処 茶の子」さんのもの。二十四節気 七十二候に合わせた和菓子が提供されます。

私が訪れた6月中旬は、あじさいの和菓子。あんこをきんとんで包んであじさいに見立てています。とても可愛らしくて、目でも楽しめ程よい甘さ。

あじさいジュースは、バタフライピーとエディブルフラワーで色付けされ、目にも爽やかなドリンク。

茶会などの時にしか入れませんが、円窓の茶室も公開されています。

一条恵観山荘近くのおすすめランチ

かふぇ楊梅亭では、月の膳という軽めのランチ代わりになる様な食事が提供されていましたが、コロナ以降は甘味のみの営業です。

以前かふぇ楊梅亭で提供されていた月の膳は、浄明寺にある麹屋さん「sawvi」のものです。

sawviは一条恵観山荘のほど近くにあり、麹を使ったスイーツやドリンクの他に唐揚げなどのランチも行なっています。一条恵観山荘に行った後は、sawviでランチするのもいいですね!

https://kamakura-life.net/sawvi/

一条恵観山荘へのアクセス

一条恵観山荘へのアクセスは、鎌倉駅から徒歩で向かうと約30分。少し遠いですが、通り道に鶴岡八幡宮や老舗和菓子屋の旭屋さんなどもあるので、寄り道しながら向かうのもいいでしょう。

バスで来る場合は、JR横須賀線「鎌倉駅」東口発。京急バス5番乗り場より乗車10分「浄明寺」バス停で下車し徒歩2分です。

詳細

住所鎌倉市浄明寺5-1-10電話番号ここに説明文を入力してください。入園料おとな・こども 500円(税込)営業時間10:00~16:00(最終入園15:30)定休日月・火曜日、ほか催事開催時公式ホームページ

※7月9日の神奈川県民デーは入園料が無料です。

一条恵観山荘は、鎌倉の超穴場スポット

いかがでしたか?

鎌倉には鶴岡八幡宮や大仏や長谷寺など有名な観光スポットが多くありますが、一条恵観山荘も負けていません。

本当に庭園が美しいので、ぜひ行って欲しい場所のひとつです。行った際は建物見学とかふぇ楊梅亭がおすすめなので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね(^^)

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