東大流!【自由研究】QuizKnock Lab的レポート術

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「東大流! 本気の自由研究で新発見 QuizKnock Lab」(著:須貝駿貴)

東京大学クイズ研究会の有志で立ち上げたWebメディア「QuizKnock」。2017年からはYouTubeチャンネルでも活動を開始。テレビ番組やさまざまなメディアでQuizKnockメンバーの活躍も目立つ。

そんなQuizKnockから発足した「QuizKnock Lab」は科学をより身近に楽しくをモットーに動画を配信中。「QuizKnock Lab」のナイスガイこと須貝駿貴氏の著書「東大流!本気の自由研究で新発見 QuizKnock Lab」(KADOKAWA)より、東大流のレポート術を紹介する。

須貝駿貴氏は、東京大学大学院の博士課程で物理学を研究しているかたわら、QuizKnockで科学的な実験の楽しさを伝える活動を行っている。東大流の実験をレポートにまとめるコツとは?

QuizKnock Lab的レポート術大公開

大学に入ると、科学的な知識を増やしていく手順を学ぶために、しばしばレポート課題を出されます。そこで、実験レポートの書き方のエッセンスを皆さんにお伝えしましょう。レポートの書き方には決まった型がありますから、どんなふうに書けばいいんだろうなんて悩まず、まずはマネしてみて、もっと大事な部分(たとえば実験の内容)に頭を使いましょう!

科学実験は4つの手順でできている

科学実験は、ものすごくざっくりいうと

「ひらめき」⇒「実験」⇒「考察」⇒「報告」

という手順で成り立っています。あらかじめ科学の知識を持っていれば、ひらめきから実験までの距離がぐっと縮まります。大きな発見をした偉大な科学者たちは、「ひらめきの天才」だっただけではなく、先人の知識をたくさん学んできたおかげで、ひらめきを実行に移し、ただの「思いつき」を「知識」に変えていくことができたのです。わずかでも、「ひらめき」から「実験」までの距離を縮められるように皆さんに貢献できたら、ここでの目的は達成されたことになります。

実験をしたら誰かに伝えることが大切

科学実験を4つの手順に分けて紹介しましたが、実験をした時点ではまだ2つ目のところ。つまり学問的にはまだ何も達成されていないのと同じです。あなたが画期的な実験を思いついて、見事成功したらどうしますか? もちろんその結果を人に伝えますよね。あなたの「ひらめき」は、実験の後で「考察」⇒「報告」という手順を踏んで、ようやく「知識」になります。

しかし、「私は◯◯に成功した!」とほかの人に伝えるだけでいいでしょうか。こんなことをいわれたらどうしますか?

「それって本当なの?」

「今ここで実際にやってみせてよ」

「それになんの意味があるの?」

科学的な知識はみんなが共有できるものでなくてはなりません。だから、同じことをもう一度やってみせることができる「再現性」が必要です。

そして多くの場合、科学的な知識には、何らかの「意義」が求められます。これまでできなかったことができるようになったり、今まで苦労してやっていたことがもっと簡単にできるようになったり。あなたの実験結果の中に、どんな意義が備わっているのか。それがこれまで蓄積されてきた科学的な知識と合わさったときに、どんな強みを発揮するのか。実験の成果が持つ「意義」について考察し、「再現性」も含めてきっちりと報告することで、ようやくそれは科学的な知識として認められる権利を持つのです。それでは、報告の手順をご説明しましょう。

科学実験のレポートは大きく5つの部分に分けられると考えられ、それぞれがレポートの中で重要な役割を果たしています。そこで5つの部分の役割とそこに書くべき内容について、これから紹介していきます。

1.Introduction「導入」インスピレーションはどこからきた?

自由研究のまとめや大学のレポートで、はじめにくるのが導入部。これから書くことが、

・どんな歴史を持っていて、

・どんな経緯であなたがそれを知り、

・あなたがそれの何に興味を持って、

・そしてこれによって何が明らかになるのか、

を書きます。手短にいえば、「どうしてこれを調べようと思ったのか」を書くところです。テレビで見たのか、授業で聞いたのか、インターネットで発見したのか。それを書きつつ、それについて昔の人が調べていたことなどを紹介します。「以前に調べられていた結果のここが疑問だ」「ここがおかしいと思ったから調べようと思った」ということも書きます。「ここまでは調べられていたけれど、自分はさらにこれを付け加えて調べようと思った」ということも書いてよいでしょう。ちなみに、レポートは最初から順に書きたくなりますが、ここを書くのは後回し。自分のやりたいことをわかってもらうための紹介の場所なので、みんなが何を知っていて何を知らないのかを調べてから書くことになり、一番パワーを使います。これから書いていく実験の軽い紹介も含みますから、ほかの部分が書き上がってからのほうがよいのです。

2.Method「方法」ほかの人が同じ実験をできるように

自分が実験したり調べたりしたことを、その方法も含めて丁寧に書いていく部分です。「再現性」を読者にアピールするため、使った道具のメーカーや型番、写真、材料の種類や量、協力してもらった人数、どんな人たちなのかなど、細かく書きましょう。注意するべきは「何も知らない人が見て自分と同じ実験ができるかどうか」です。どこまで想像すればいいのか難しいと思う人は「実験をやる前の自分に見せて困らずに準備できるか」という部分を意識します。自分がそれを見て同じ実験を再現できなかったら、あまりいいレポートではありません。

レポートとして提出したり、論文でまとめたりする際には、ここでの例よりも厳密に書く必要があります。「マネをすれば絶対に同じことが起こる」というのが科学の営みの本質です。

3.Result「結果」結果は定量的に

実験をして得られた結果はしっかり数字を使って示しましょう。グラフや表にするのもよい作戦です。どんなグラフや表を使うと、数値をわかりやすく伝えることができるかを考えるのも大事です。

逆にいえば、実験をするときから、どの数字やグラフをレポートに書くのか意識しながら準備をする必要がある、ということです。何を調べたかったのか、実際にやってみて何がわかったのかが明確に伝わるような実験結果のページを心がけましょう。

お互いによくわかった人同士、つまり専門家同士が見たら結果と次の考察のパ ートだけで、その人のいいたいことが全部わかるのが理想です。

4.Discussion「考察」考察は定性的に

レポートにおいて最も重要な部分です。このパートを書くためにすべての準備をしてきた、といってもよいでしょう。実験をやってわかったこと、特に「結果のページに載せた数字から、このような性質がわかった」ということがはっきりと伝わるように書きましょう。定性的というのは性質に着目するという意味です。

たとえば、氷を温め続ける実験をしたとき、ある時間帯に温度がまったく上がらなかったというグラフ(定量的な指標)から、「ここに何か熱を奪い取るような仕組みがあると考えられる」ということを書くのが定性的な議論です。さらに奪い取られた熱を定量的に測定できれば、水と氷の融解熱(潜熱)についてのレポートができあがります。

実験からわかったことに加えて、わからなかったことも添えておくとよいでしょう。誰かがこれを読んでその続きをやってくれるかも!? 学術的な報告は、リレーでいうバトンパス。あなたの次に同じ研究をする人に、うまくバトンを渡せるのかどうか、それがこの考察パートにかかっています。

5.Summary「要約」まとめだけ読んでわかるように

最後はまとめです。何をやって何がわかったのか、一言で書けるといいですね。ここまでに4つの項目があるため、多くの情報が登場しています。誰かに自分の発見を伝えたいのがレポートですから、最後に整理してまとめておくのは大事なことです。

ちなみに論文を読むとき、「まとめ」を先に読むことがあります。論文は「まとめ」の部分にすべての情報が圧縮されるものですから、ここだけを読んだとしても内容がしっかりと伝わるのが理想です。

導入、方法、結果、考察、要約の5つに分けて自分のいいたいことを丁寧に説明していけばレポートは完成です。皆さんはもうお気づきかもしれませんが、このレポート術のページも導入、内容、要約になっています! 実験をしたというよりは知識をみんなとシェア、という構成なので結果と考察がありませんが、どんな書き物もこの構成を意識すれば読みやすく、伝わりやすくなることでしょう!

実際にレポートにまとめてみました!

実際に

実験「果物で電池が作れるってマジ!?」

をレポートにまとめてみました!

導入、方法、結果、考察、要約の5つの要素を具体的にどうまとめたらよいのかがわかると思います。ぜひとも、参考にしてみてください。

(協力:KADOKAWA)

編集部