天の川銀河からの高速電波バーストを検出。発生源は「マグネター」か

電波バーストを放つマグネターのイメージ(Credit: ESA)

2007年に初めて観測された「高速電波バースト」(FRB:Fast Radio Burst)は、千分の数秒というごく短時間だけ強力な電波が放出される突発的な現象です。その発生源は明らかになっていませんが、天の川銀河にある「マグネター」(強力な磁場を持つ中性子星)から放出された高速電波バーストが観測されたとする研究成果が発表されています。

■高速電波バーストはマグネターが発生源だとする予測を支持する結果

Sandro Mereghetti氏(イタリア国立天体物理学研究所)らの研究グループは、「こぎつね座」の方向にあるマグネター「SGR 1935+2154」においてX線バーストが検出されたのと同じ日に、同じ方向から高速電波バーストが検出されたことを明らかにしました。研究グループはSGR 1935+2154までの距離をおよそ1万~2万3000光年と算出しています。

研究グループによると今年の4月28日、欧州宇宙機関(ESA)が運用するガンマ線観測衛星「インテグラル」が、SGR 1935+2154から放出された高エネルギーのX線バーストを検出。インテグラルのアラートを受けたカナダの電波望遠鏡「CHIME」が観測を行ったところ、SGR 1935+2154の方向から届く短時間かつきわめて強力な電波バーストを検出したといいます。CHIMEによる検出から数時間後には、アメリカの観測装置群「STARE2」も電波でのバーストを独立して検出したとされています。

観測データを研究グループが分析した結果、CHIMEとSTARE2で検出された高速電波バーストは、インテグラルが検出したX線バーストと同じSGR 1935+2154から放出されたものと結論付けられました。研究グループは今回の観測結果について、高速電波バーストの起源がマグネターだとする予測を強く支持するものとしています。

Mereghetti氏は「マグネターと高速電波バーストが観測によって初めて結びつけられました。これは重大な発見であり、謎めいた現象の起源を解き明かす研究の助けとなります」とコメントしています。

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Image Credit: ESA
Source: ESA
文/松村武宏

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