「目の痛みが1日半」「やけどのよう」 米軍、催涙スプレー訓練強行

日本人警備員は、基地のゲートなどの警備にあたっている=在日米海軍横須賀基地

 在日米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)で7月、日本人警備員11人に対して顔面にスプレーを噴射する訓練が強行され、警備員らの間には「なぜ民間人がやるのか」「次は何をやらされるのか」といった疑念や不安が広がっている。県内の米軍基地ではスプレー訓練のみならず、軍人同様の過剰なテロ対策訓練などを日本人に課しているケースもあり、専門家は「あくまで民間人の警備員に米国の常識を適用するのは問題」と指摘する。

 護身用の「OCスプレー」を日本人警備員の顔に噴射する訓練は13人に予定されていたが、7月9日に1人、17日に6人、20日に3人、24日に1人に対して行われた。関係者によると、残り2人にもいずれ実施される可能性が高いという。

 今回訓練を受けた警備員らは大事には至らなかったものの、「目の痛みが1日半くらい続いた。少し目に入っただけでやけどのような感じだった」と憤る。

 全駐留軍労働組合(全駐労)や雇用主である防衛省を通じて訓練の内容見直しを要請してきたが通らず、警備員からは「なぜここまで民間人がやる必要があるのか。今後何をやらされるのか不安。防衛省にはこちら側に立って人権を守ってほしい。使用者である米軍には労働法規を守ってほしい」と切実な声が上がる。

 スプレー訓練を巡っては、過去には横須賀の日本人警備員が一時呼吸困難になって救急搬送されたほか、県内のほかの在日米軍基地で目に全治1カ月程度のけがを負った警備員がいることも明らかになっている。

 また、在日米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)ではスプレー訓練だけでなく、テロを想定した銃の射撃を含む訓練が日本人警備員に課されていることにも反発が出ている。

 同基地では在日米軍再編に伴って空母艦載機が岩国基地(山口県岩国市)に移ったことで近年、人員が縮小されたといい、全駐労さがみ野支部の関係者は「少ない人員で効率的に警備を行うため、日本人警備員と米軍人の警備員が一体となって運用されている」と問題視する。

 同基地に勤務する警備員からは「警備員の業務とは思えない米軍隊員並みの過酷な訓練だ」「緊急時には攻撃指示に従い射撃するのかと不安になる」といった声が出ているという。

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