FIA-F2第4戦イギリス レース1:角田裕毅が2度目の表彰台。6台抜き&ファイナルラップで3位奪取。優勝はマゼピン

 8月1日(土)、2020年FIA-F2第4戦イギリスのフィーチャーレース(決勝レース1)が開催され、ニキータ・マゼピン(ハイテックGP)が優勝。日本の角田裕毅(カーリン)が3位表彰台、松下信治(MPモータースポーツ)は10位、佐藤万璃音(トライデント)は20位だった。

 2度目の3連戦の初戦はシルバーストン・サーキットからスタート。気温22.9℃、路面温度40.3℃、雲が多いが青空も見えるドライコンディションだ。規定周回数は29周、タイヤ交換を行う1回のピットインが義務付けられている。

 ポールスタートはフェリペ・ドルゴヴィッチ(MPモータースポーツ)、2番手にカラム・アイロット(ユニ・ヴィルトゥオーシ)、セカンドロウには3番手のミック・シューマッハー(プレマ・レーシング)、4番手にクリスチャン・ルンガー(ARTグランプリ)。

 このレースを含め、ここまで4レース中3レースの練習走行でトップタイムを記録している角田は9番手、松下は11番手、佐藤は16番手からのスタートとなった。

 またもレース前からアクシデントが発生する。フロントロウのアイロットがマシントラブルで動き出せず、手押しでマシンがピットへと戻され、ピットスタートとなってしまった。

 レースは日本時間の23時50分にスタートした。3番手スタートのシューマッハーが見事な蹴り出しを見せ一気にトップへ浮上。そして角田も6番手まで躍り出た。

 また5番手スタートのニキータ・マゼピン(ハイテックGP)も2番手までポジションアップ。ファステストラップをだしながらシューマッハーと0.4秒差で周回を重ね、3周目に首位を奪取した。

 ミディアムを装着する上位勢のペースが落ち始めた6周目、6番手争いが過熱する。角田の後方からハードタイヤを履く8番手スタートの周冠宇(ユニ・ヴィルトゥオーシ)が攻め立てる。7周目に周はバックストレートで角田をパス。翌周には5番手のジャック・エイトケン(カンポス・レーシング)をも料理する。

 そして9周目に首位のマゼピン、2番手のシューマッハーと角田がピットインし、ハードタイヤへ交換。ペースをキープしつつ終盤の争いに備えることとなった。

 10周終了時点でミディアムタイヤスタート組はほぼタイヤを交換し、暫定順位はドルゴヴィッチを先頭に、周、エイトケン、松下と、ハードタイヤスタート組が続く。

 実質トップで暫定10番手のマゼピンと11番手のシューマッハーは1秒前後の差を維持。さらにその0.7秒後方にルンガーを従えながら着々と順位を上げていく展開となっていく。

 15周目、ペースがイマイチ上がらないシューマッハーがトラフィックにかかったところをルンガーは見逃さず、オーバーテイクに成功した。

 その間にマゼピンは順調にギャップを築き、17周目の時点で暫定10番手、実質2番手のルンガーとの差を4.7秒にまで拡大した。

 しかしレース終盤はハードタイヤスタート組がフレッシュなタイヤに交換することが予測されるため、ペースの上げすぎには注意する必要がある。ペースを維持しつつタイヤを労わる玄人好みのレース展開に。

 19周目には暫定上位勢が続々とピットインしフレッシュなタイヤへと交換。松下もこの機にタイヤを交換し、13番手でコースへ復帰。直後にファステストラップを記録して上位を猛追する。

 22周目にまだピットインしていなかった周とエイトケンがタイヤを交換。これでようやく順位が整理され、マゼピンを先頭にルンガー、シューマッハー、ルイ・デレトラズ(チャロウズ・レーシング・システム)、角田となった。

 序盤に攻めすぎたのかペースに苦しむ3番手シューマッハーの後方1.1秒以内にデレトラズと角田が接近。24周目にはデレトラズと角田がシューマッハーを交わし、さらにその後ろには周が迫る。

 1秒以上速いペースで周回する周に為す術のない角田は順位を明け渡すが、そのまま周に追随。25周目には周とそろってデレトラズを抜き4番手へ浮上した。

 勢いに勝る周はルンガーに残り2周で0.847秒差まで肉薄。コーナー入り口であっさりと交わし2番手まで上り詰めた。

 このまま首位まで駆け上がりたかった周だが、前を行くマゼピンとの差は5.833秒と万事休す。

 そして最後にサーキットを沸かせたのが角田だ。前を行くルンガーと0.555秒差でファイナルラップに突入。勢いそのまま見事にルンガーをパスし3番手へ浮上に成功した。

 このままチェッカーを受けてマゼピンが初優勝を飾った。2位には巧みな戦略でレースを盛り上げた周。3位には角田が入り、第2戦レース1の2位以来、2度目の表彰台を獲得した。松下は10位入賞、佐藤は20位でレースを終えている。

  レース後のインタビューで角田は「1周目に順位を上げられて良かったです。またタイヤをうまくマネジメントできました。エンジニアからライバルたちがハードタイヤでも苦戦しているのを聞いていたので、後半に余力を残しておきました」と勝因をコメントしている。

 スプリントレース(決勝レース2)は日本時間8月2日(日)18:10から行われる。

■FIA-F2第4戦イギリス フィーチャーレース(レース1) 暫定リザルト

Pos. No. Driver Team Time/Gap

1 24 N.マゼピン ハイテックGP 29Laps

2 3 周冠宇 ユニ・ヴィルトゥオーシ 5.323

3 7 角田裕毅 カーリン 7.406

4 6 C.ルンガー ARTグランプリ 8.094

5 4 C.アイロット ユニ・ヴィルトゥオーシ 10.764

6 11 L.デレトラズ チャロウズ・レーシング・システム 16.121

7 15 F.ドルゴヴィッチ MPモータースポーツ 18.136

8 2 D.ティクトゥム ダムス 20.580

9 20 M.シューマッハー プレマ・レーシング 24.742

10 14 松下信治 MPモータースポーツ 25.319

11 12 P.ピケ チャロウズ・レーシング・システム 26.23

12 8 J.ダルバラ カーリン 26.527

13 9 J.エイトケン カンポス・レーシング 26.744

14 21 R.シュワルツマン プレマ・レーシング 30.767

15 1 S.ゲラエル ダムス 31.585

16 5 M.アームストロング ARTグランプリ 37.827

17 25 L.ギオット ハイテックGP 45.263

18 16 A.マルケロフ BWT HWAレースラボ 53.528

19 17 G.アレジ BWT HWAレースラボ 1’00.579

20 23 佐藤万璃音 トライデント 1’12.128

21 10 G.サマイア カンポス・レーシング 1’27.775

— 22 R.ニッサニー トライデント DNF

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