DTM開幕戦レース1:ミュラーが15年ぶりのスパ・フランコルシャン戦を圧勝

 スパ・フランコルシャンで開幕を迎えたDTMドイツ・ツーリングカー選手権。8月1日に行われたレース1は、ニコ・ミュラー(アウディ・スポーツ・チーム・アプト・スポーツライン)が勝利を挙げた。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で大幅にスケジュールが変更となり、8月の開幕となったDTMドイツ・ツーリングカー選手権。

 昨年参戦したアストンマーティンが参戦1年目で離脱し、長年BMWとしのぎを削ってきたアウディが今季限りでの撤退を表明。シリーズの先行きが不透明な状態でのシーズンスタートとなった。

 開幕戦の舞台は、2005年以来15年ぶりとなるベルギーのスパ・フランコルシャン。アウディが8台、BMWが7台の合計15台が参戦した。

 フリー走行ではウエットコンディションだったが、予選では路面も乾き、ロビン・フラインス(アウディ・スポーツ・チーム・アプト・スポーツライン)が初のポールポジションを獲得。

 ニコ・ミュラーが2番手、王者レネ・ラスト(アウディ・スポーツ・チーム・ロズベルグ)が3番手と続き、BMWのトップは5番手のシェルドン・ファン・デル・リンデ(BMWチームRBM)となった。

15年ぶりのスパ・フランコルシャン戦スタート

 決勝レース前には青空が広がり、フラインスがホールショットを決めてレースはスタートする。3番手のラストも好スタートを見せ、ミュラーに並ぶも2番手を奪うことはできない。

 2番手を死守したミュラーは5周目にフラインスを交わしトップに浮上。ここからレースをリードしていく。

 9周目、マイク・ロッケンフェラー(アウディ・スポーツ・チーム・フェニックス)が3番手のラストをテイル・トゥ・ノーズで攻め立て、10周目のオールージュ前でオーバーテイク。

 4番手に落ちたラストが10周目終わりで最初にタイヤ交換へ。2番手のフラインスも翌周にピットインへと向かうも、ラストに交わされてしまう。

 トップのミュラーは12周を走行してピットイン。クルーも素早い作業で送り出し、ラスト、フラインスの追撃を許さない。

ニコ・ミュラー(アウディ・スポーツ・チーム・アプト・スポーツライン)

 全車がタイヤ交換を終えるとレースは膠着。しかし終盤、夏の気温がドライバーたちを苦しめることになる。

 3番手のラストは残り13分を過ぎた20周目にタイヤが厳しいのか失速。ロッケンフェラー、フラインスに交わされるとタイヤ交換のため2回目のピットインを行い、大きく後退する。

 ロッケンフェラーは、ラストを抜いた勢いでフラインスもオーバーテイク。2番手に浮上する。

 3番手となったフラインスもタイヤが厳しくなり、ロイック・デュバル(アウディ・スポーツ・チーム・フェニックス)、さらに11番手スタートのジェイミー・グリーン(アウディ・スポーツ・チーム・ロズベルグ)に一気に交わされてしまう。

 ひとり旅となったミュラーは悠々とレースをリード。25周目に、55分が経過し残りは1周に。ミュラーはペースを落とすことなく、チェッカーフラッグを受け、開幕戦を制した。

「レース序盤、オールージュでルネ・ラストとのスリリングな状況になった。本当にプランにはなかったが、彼は十分なスペースを残してくれていたよ。最初のスティントは、タイヤをどうにかキープすることができた」

「セカンドスティントはとても困難だったよ。クルーたちには脱帽だね。クルマも準備も素晴らしかった。いつも勝利は感動的だけど、特に8月1日はスイスの建国記念日だから特別だね」と喜びをミュラーは語った。

11番手スタートからポジションを上げたジェイミー・グリーン

 一方、2番手争いはさらなる展開を見せる。残り3分を切った24周目にデュバルがロッケンフェラーを捉え2番手を奪取。グリーンも3番手にポジションを上げ、デュバルに襲い掛かる。グリーンはファイナルラップ前に、デュバルを攻略し2位でフィニッシュ。3位のデュバルは昨年のミザノ戦以来のの表彰台獲得となった。2回目のタイヤ交換でポジションを落としたラストだったが、5位まで追い上げフィニッシュした。

 アウディ勢に一矢報いたいBMW勢だったが、上位をアウディに独占され、フィリップ・エンゲ(BMWチームRBM)の6位が最上位。DTMデビュー戦となったロバート・クビサ(ARTグランプリ)は、予選14番手で決勝に挑むも14位でレースを終えている。

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