木村花さんの母、テラハ報告にフジの姿勢を問う「テレビは人が傷つくようなものを作ることもできる」

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フジテレビ系の恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラーの木村花さんが、SNSで誹謗中傷を受けその後亡くなった問題で、フジテレビは7月31日、内部調査の報告書を公表した

報告書は、「(花さんに)多くの批判が寄せられることは予見できなかった」とし、SNSの炎上を狙って番組制作をしていたとの報道や指摘について、「そのような意図はなかった」と否定する内容だった。

母・響子さんは検証結果について、「なぜ誹謗中傷が起きたのか、本質を見ず、(SNSの誹謗中傷など)自分たちの責任がないところに責任を押し付けて逃げているようにしか思えません」と落胆をあらわにする。

「放送する人としてのモラルを持って、問題と向き合ってほしい」と訴える響子さんに、検証結果の受け止めを聞いた。

フジ、SNSの炎上「煽ろうとするような意図を持つことはない」

「テラスハウス」の問題をめぐっては、出演者の1人が花さんのレスリングのコスチュームを誤って洗濯し、それに対して花さんが怒るシーン(第38話の“コスチューム事件”)が配信・放送され、その後ネット上で花さんへの誹謗中傷が相次ぐようになった。

「週刊文春」は、出演者の証言などから、番組スタッフがSNSでの炎上を狙った制作をしていると報道。また、母響子さんは、番組スタッフに共演者をビンタするようあおられたと生前の花さんから相談を受けた、と文春や朝日新聞などの取材に答えている。

フジテレビは、制作スタッフや出演者10人への聞き取り調査の結果として、スタッフからビンタをするよう「指示、強要した、或いは指示、強要するのを聞いたという証言はありませんでした」と報告。

また、花さんに寄せられた誹謗中傷について、「多くの批判が寄せられることは予見できなかった」とした。SNSの炎上を狙った演出については、「木村花さんの場合に限らず、制作スタッフの全員が、出演者のSNSの炎上を煽ろうとするような意図を持つことは無い」と否定した。

その上で、「木村花さんへのケアの在り方、健康状態についての認識について、制作側としても、結果的に至らぬ点があったものと考えております」とした。

母・響子さん「メンタルケアが必要な番組作りそのものを見直すべきでは」

フジテレビ側の検証結果について、母響子さんは、「なぜ誹謗中傷が起きたのか、本質を見ず、(SNSの誹謗中傷など)自分たちの責任がないところに責任を押し付けて逃げているようにしか思えません」と、失望と落胆をあらわにする。

『テラスハウス』をめぐっては、花さんが出演したシリーズ以外でも、出演者がSNS上での炎上に晒されたことがあった。

響子さんは、「以前から誹謗中傷が巻き起こるような番組作りがされていて、うっかり間違って炎上してしまったというわけではない。それなのに、炎上の『予見ができなかった』ということには疑問を持ちます」と話す。

「あの番組の内容で、誹謗中傷を誘うような演出や雰囲気作りをしていたことを認めないのは、誰が聞いても納得はできないのではと思います。本当にみなさんに問いたいです。そもそも(出演者の)メンタルケアが必要な番組作りそのものを見直すべきではないでしょうか」

「本当に許されることなのか、考えていただきたい」

問題の第38話は、3月31日に初めてNetflixで配信された。配信後、SNSには花さんへのバッシングが相次ぎ、その後花さんは自身のSNSで自傷行為をしたことを投稿している。誹謗中傷に悩んでいたと見られる投稿もしていた。

しかし、5月14日には未公開映像がYouTube上にアップされ、さらに花さんが亡くなる直前の5月18日には、地上波でも第38話が放送された。

番組の演出だけではなく、炎上後もYouTubeや地上波で立て続けに映像を公開したことがさらなる誹謗中傷を誘発した、と響子さんは考えている。

「私が母親だから贔屓目で見ているとかではなく、客観的に、誰が見てもそう見えるだろうと私は思います。公正な目で見て、これは本当に許されることなのか、まかり通ることなのか。多くの人に考えていただきたいし、声をあげていただきたいです」

また、調査方法にも疑問を投げかけた。

フジテレビ側の説明によると、制作スタッフや出演者への聞き取り調査は、第三者を介さず内部で行なっている。

響子さんは、「スタッフやキャストは現在も芸能界での仕事をしていたり、これからもしていきたい人たちで、テレビ局や制作側の不利になるようなことを安心して言えるような状態ではないと思います」と指摘。問題や経緯を明らかにするため、「公正な調査をしてほしい」と訴えた。

「テレビは人が傷つけることも、救うこともできる。モラルを持って向き合ってほしい」

フジテレビ側は、再発防止のための今後の対策として、①「SNSへの対応 - 誹謗中傷は絶対に許さないという強い姿勢」と、②「出演者へのケア - 幾重にも重なるケアの実現」の2つを挙げている。

演出や編集など、番組作りに関しては具体的な対策は挙げなかった。

響子さんは、「フジテレビや制作会社にはモラルを持って真摯に問題と向き合い、本質的な改善策を出してほしい」と訴える。

「テレビは大きな影響を持っています。人が傷つくようなものを作ることもできるし、逆に言えば人を救うこともできる。放送する人としてのモラルを持って、問題と向き合ってほしいですし、疑問を持った方は問いかけてほしいと思います。人を一人亡くしてしまっているので、本当にそこを考えてほしいです」