社説[コロナ禍の夏休み]大人の目配りが大事だ

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 新型コロナウイルス感染者が急増する中、子どもたちの短い夏休みが始まった。

 県内の小中学校の夏休み期間は10~14日。例年の半分から3分の1ほどの短さだ。新学期スタート時の休校が5月中旬ごろまで長引いたことによるもので、授業時数を確保するため夏休みが大幅に短縮された。

 夏休みまでの間、学校は感染防止対策に取り組みながら学習面の遅れの解消に努めてきた。遠足などの行事が中止された学校も多い。

 子どもたちは友達と会える喜びを感じつつ、せわしい学校生活に少なからずストレスを感じていたはずだ。夏休みで気持ちをリフレッシュさせてほしい。

 ただ、県内では夏休み直前に感染者が急増し、警戒レベルは上から2番目の「感染流行期」に引き上げられた。県独自の「緊急事態宣言」も発令された。本島全域で不要不急の外出自粛が求められるなど深刻な状況にある。

 イベントの中止や延期、規模縮小の検討が要請された。県立博物館・美術館や県立図書館、首里城公園、美ら海水族館など県民も多数利用する施設が休館となった。

 子どもたちにとっては「ステイホーム」を求められ外出を我慢していた休校期間とは異なり、夏休みは短い期間であっても家族でレジャーや遠出が楽しめると期待していたことだろう。

 やむを得ない状況とはいえ、楽しみを奪うようでやるせない。

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 夏休みは本来、子どもたちが普段できないことを経験する絶好の機会だ。

 初めての土地への旅行や、海や山での自然体験は「非日常」を味わえる魅力がある。実験や観察などの自由研究にじっくり取り組むのも充実感が得られよう。伝統行事への参加は生まれ育った地域の再認識にもつながる。

 子どもたちの学びの場は学校の授業だけではない。さまざまな経験を通し成長できるところに夏休みの意義がある。

 それが今年の夏休みは極めて困難になった。子どもも親も戸惑っていることだろう。

 感染防止を第一に考えながら、何とか夏休みの思い出を作れないか。

 例えば、ごく近場の「密」にならない状況でアウトドア活動を楽しむ。自宅ならアスリートらが動画投稿サイトに上げているトレーニング法に家族で挑戦してみる。大人と子どもが一緒に体験する機会を設けてほしい。

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 先の休校期間では、ゲームや動画に没頭した子どもたちの生活リズムの乱れが指摘された。受験生の中には勉強の遅れに不安を感じている子もいる。どちらも夏休み明けの心身の不調につながりかねず心配だ。

 コロナ禍で経済活動が停滞し、仕事を失う不安を抱える親も少なくない。家庭の中でそのストレスが子どもへ向かえば児童虐待につながる懸念もある。

 いつもとは違う夏休み。例年以上に学校や大人の目配りが求められている。