海外からの留学生は知っておきたい。国民年金の脱退一時金について

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留学生はもちろん、外国籍の人も国民年金に

国民年金の被保険者になるために、国籍の要件はありません。「20歳以上60歳未満の人が日本国内に住所を有した日」に国民年金の被保険者になります。

ただし、日本国籍がなく、医療滞在ビザや長期観光ビザにより滞在する人は該当しません。

留学生は国民年金第一号被保険者に該当します。具体的には、区市町村役場で住民票を作成した後に、同じ区市町村役場の窓口で国民年金の加入手続きがなされます。以後は、国民年金の保険料、2020年度は1万6540円を毎月納めることになります。

留学生のライフプランと国民年金

国民年金の受給資格期間を満たせば、65歳になった時に老齢基礎年金を受け取ることができます。

つまり、留学生が卒業後に日本で就職し、国民年金第二号被保険者になるか、日本で起業して国民年金第一号被保険者を続ける等して受給資格を満たせば、将来、老齢基礎年金をもらうことができます。

とはいえ、留学生が卒業後に日本で就職したり、日本で起業したりするとも限りません。他の国に行くかもしれませんし、母国に帰る学生もいると思います。ということは、せっかく納めた国民年金の保険料が、いわゆる掛け捨てになってしまうかもしれません。

■留学生も要件を満たせば免除や学生納付特例に

国民年金の第一号被保険者である留学生も、要件を満たせば、国民年金の保険料免除や学生納付特例制度の適用を受けることができます。国民年金の保険料を納める必要がなくなるとともに、滞納の心配もありません。

脱退一時金

第一号被保険者としての保険料の納付済み期間や、一部免除期間を合計して6ヶ月以上ある日本国籍を有しない人が、老齢基礎年金の受給資格期間を満たすことがない場合、日本国内に住所を有しなくなってから2年以内に脱退一時金を請求できます。

■脱退一時金は、いくら受け取れるのか?

以下の表は、国民年金保険料の「最終納付月」が2020年度の場合の脱退一時金の金額です。

表の右側には「国民年金保険料を全額納付した場合の合計」の数字を挙げておきました。2020年7月現在、2020年度はまだ4ヶ月ほどしかたっていませんが、2020年度の国民年金保険料を全額納付(=前納や免除は行っていない)した場合の合計額です。

脱退一時金の仕組みを知った学生から、「20歳から60歳まで国民年金保険料を納めて、65歳から老齢基礎年金を受け取るよりも、国民年金保険料を2、3年納めてすぐに脱退一時金をもらうほうが、はるかに割が良いのでは?」「脱退一時金をもらうくらいなら、最初から国民年金保険料なんて納める必要がないのでは?」と質問がきました。実際そうなのでしょうか。

まとめに代えて

国民年金は老齢基礎年金だけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金などの給付もあります。ないことを祈りますが、留学生が日本滞在中に大きな障害を負ってしまった場合、要件に該当すれば、障害基礎年金を受け取ることができるのです。

留学生のみならず、学生にとって老後ははるか遠くに感じるしょう。また、「まさか自分が障害を負うなんて」と思っているかもしれません。しかし、年金制度を理解し、老後や万が一に備えることは大切なことです。正しい知識を身につけましょう。

(参考)日本年金機構「日本の国民年金制度」

執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役