熱中症にご用心

 暑い日に走る救急車を見かけると熱中症の人が搬送されているのではと心配になり、思わず心の中で無事を祈る▲あれは3年前の7月だった。30分ほど自宅周辺をジョギングした後、息を整えようとグラウンドを歩いていると腹の底から湧き上がる不快感を覚えた▲道端の商店に入り休ませてもらったが、じきに手足と顔がしびれて動けなくなり、目の前が暗くなってきた。熱中症だった。お店の方が心配して119番通報してくれて、人生で初めて救急車のお世話になった▲搬送中の体温は40度。激しい動悸(どうき)と息苦しさが波のように襲い「死ぬのではないか」という恐怖に駆られた。幸い回復して、点滴を受け、その日のうちに帰宅できた▲油断していた。熱中症の危険が盛んに報道されていたのに、体力のない高齢者や幼児が気を付ければよい、と高をくくっていた。家を出る前にコップ1杯だけ水を飲み、愚かにも炎天下に駆けだしていたのだ▲あれから暑い日は水やスポーツドリンクを持ち歩いて、小まめに水分補給している。今年はマスク着用で体に熱がこもりやすく、例年以上に熱中症のリスクが高い。コロナ禍の最中に熱中症患者が増えると、医療機関の負担が増すことになる。誰もが熱中症になり得る、と考えてほしい。くれぐれもご用心を。(潤)

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